北乃きい、稲森いずみの役者魂に衝撃!「極限状態だった」
映画『爆心 長崎の空』で初共演した北乃きいと稲森いずみが、刺激し合って臨んだという作品への熱い思いを語った。
本作は、被爆地・長崎を舞台に、母を亡くした少女・清水と娘を亡くした母親・砂織が巡り合い、悲しみを共有しながら希望を見いだす姿を描いたヒューマン・ドラマ。北乃が清水を、稲森が砂織をそれぞれ熱演している。
同じ痛みを抱える清水と砂織が出会う印象的なシーン。意外なことにこのシーンが初対面だったという。「あのシーンでの砂織は極限状態だと思うんですが、撮影前から稲森さんはすでにそういう状態でした」と振り返る北乃。「あいさつをした後、隣に座ったんですが、それがひしひしと伝わってくるんです。稲森さんは意識していたかどうかわかりませんが、あのときの稲森さんは砂織として生きていました」と絶賛する。
一方稲森は「砂織という女性は最愛の娘を失い、悩んで渦に巻き込まれて落ちていく。『娘が亡くなった原因は被爆2世の自分にあるのではないか。さらには被爆1世の母にあるんじゃないか』という心の流れでした」と自身の役柄を分析。長崎のロケ中には、原爆資料館に足を運んだそうで「役を通して、資料を見ているうちに、泣き崩れてしまいそうで立っていられないくらいでした」と大きな衝撃を受けたことを明かした。
主演の北乃も脚本を読んですぐ、原爆資料館に足を運びたいと考えたという。「清水は原爆を知らずに育った世代だったので、意識しないようにしていたのですが、資料館に行って作品に対する心構えが変わりました。実際に触れられる資料もあったので、肌で感じて、本当に起きたことなんだとしっかり認識することができました。生きている間に知ることができて良かった。友達にも『絶対、行った方がいい』と伝えたほどです」と涙ぐみながら語った。
そんな北乃の真っすぐな思いが稲森の気持ちにも火を付けたのかもしれない。「きいちゃんは潔い芝居をする女優さん。彼女のそばにいると勢い、エネルギーを感じるんです」と絶賛。二人が刺激し合って生まれた迫力の演技に注目だ。(取材・文:高山亜紀)
映画『爆心 長崎の空』は7月20日より東劇ほか全国公開