バズ・ラーマン監督、『華麗なるギャツビー』でのお気に入り&映像化が難しかったシーンを告白
来日したバズ・ラーマン監督が、F・スコット・フィッツジェラルドの傑作小説を映画化した『華麗なるギャツビー』におけるお気に入りのシーン、そして映像化が困難だったシーンをそれぞれ挙げた。
『ムーラン・ルージュ』で独自の美的感覚を発揮したラーマン監督の面目躍如というべき本作。デイジー(キャリー・マリガン)とジョーダン(エリザベス・デビッキ)の周りで白いカーテンがはためくシーンや、ギャツビー(レオナルド・ディカプリオ)が色とりどりのシャツを宙に投げるシーンなど、小説のイメージそのまま、もしくはそれ以上に美しい映像を生み出すことに成功している。
そんな本作において、映像化するのが一番困難だったのはデイジーの家の前の桟橋にともされた照明である「緑色の光」だという。「緑色の光はギャツビーの目から見れば、神々しく、あと少しで手が届きそうなデイジーの愛を象徴するもの。しかし、あるときはただの桟橋の照明。そして次の瞬間には、イカロスが近づきすぎて命を落とした太陽のようにそこにある。そのニュアンスをちょうどよく表現するのが難しかった」。
一方で、一番満足しているシーンについては「僕はどんな映画でも決して満足しない」ときっぱり言い切り、自分に厳しい一面を見せたラーマン監督。「でも雨が続いたため、ほとんどロケをするのを諦めてスタジオで撮ろうとしていたシーンがあるんだ」と切り出すと、ジョーダンと街で会って自宅に戻ってきたニック(トビー・マグワイア)が、家中の電気をつけてニックを待っていたギャツビーと会話を交わすシーンに言及した。
「レオ(ナルド)とトビーのあの演技は見事。あのときのギャツビーはすごく風変わりで奇妙なんだけど、それをレオは細かいニュアンスまで体現している。あのシーンはレオが本作の中で見せた最も素晴らしいシーンの一つだ。トビーにも同じことが言えるね」と自分の仕事は脇に置いて、俳優陣の演技を手放しで絶賛した。ラーマン監督の挙げた二つのシーンに注目すれば、また違った角度から本作を観ることができるかもしれない。(編集部・市川遥)
映画『華麗なるギャツビー』は公開中