映画『黒執事』はなぜオリジナルストーリーなのか?プロデューサーが明かす
アニメ化もされた枢やなの人気コミックを原作にした映画『黒執事』の松橋真三プロデューサーが、映画化にあたって原作の設定を大幅に変更した理由を明かした。「原作通り19世紀のイギリスを舞台にしてしまうと、日本人キャストでやるということに非常に無理が出てくる」と説明しており、そうした理由から映画版では「2020年のアジア」を舞台にすることを決断したという。
そんな松橋プロデューサーが参考にしたのは、クリストファー・ノーラン監督による『ダークナイト』3部作。「バットマン」というアメコミを原作にしながらもオリジナルの世界観を構築した同シリーズは批評的にも興行的にも世界中で大成功を収めた。「(映画『黒執事』でも)そういうアプローチを目指した」という松橋プロデューサーは、「原作の(舞台になっている19世紀イギリスの)女王陛下の支配下という世界観を感じてもらいつつ、ちょっと未来だけども懐かしさを感じさせる『レトロ・フューチャー』な世界観を作って、新しいものを作ってみようと思いました」と映画版の設定について明かした。
そして、映画『黒執事』を語る上で欠かせないのが、主人公の執事セバスチャンを演じる水嶋ヒロ。実は「黒執事」を映画化するというアイデアは3年ほど前から温めていたというが、なかなか進展せず。「それで水嶋さんでやってみたらどうかなと思ったら、急にいろいろなイメージが膨らんだ」と言う通り、本作は水嶋ありきの企画だったとのこと。正式オファー時、水嶋は俳優業を休んでいたが、松橋プロデューサーは「水嶋さんに断られたら、わたしはこの作品をやらない」とまで語って口説き落とした。
「わたしが思う、ヒットする映画の一番大事な条件というのは、みんなが頭の中に思い描いているキャラクターとそれを演じる俳優が『ぴったりはまったね』と思えること」と断言する松橋プロデューサーにとって、水嶋はまさに理想のキャスティング。取材が行われたのは撮影が始まって間もない4月中旬だったが、それまでの撮影を振り返った松橋プロデューサーは「非常に手応えを感じています」と満足気な笑みを浮かべていた。(編集部・福田麗)
映画『黒執事』は2014年新春に全国公開予定