武田鉄矢、島田紳助に思いをはせる…人生を上手に降りたいと決意
俳優の武田鉄矢が26日、リブロ池袋本店で行われた書籍「西の窓辺へお行きなさい 『折り返す』という技術」発売記念イベントに出席し、2011年8月に芸能界を引退した島田紳助さんについて言及した。
本書は、還暦を過ぎた武田が半生を振り返り、晩年の人生過ごし方についてユニークな視点でつづった指南書。本書の冒頭では、「(人生の)山はてっぺんまで登ったら、ゆっくりうまく降りないといけない」という武田の言葉を念頭に置きながら、「山の向こうが崖で転げ落ちてしまいました」とコメントを残した島田紳助さんに言及する一幕もある。
「彼とはよく人生論を戦わせていた」という武田は「人生は降りていくことを大事にしないといけない。降りるのも難しいと思ったら、紳助さんのことを思い出した。山に登ったら上手に降りるということが、わたしたちの世代にとって大事な生きる技術じゃないかなと。それが(本を書く)動機になった」と振り返る。
その上で「僕もいつまで働けるかわかりませんが、ゆったりと周りを見渡しながら(芸能生活を)降りたいなと思っています」と決意を語る武田。「値段のつくジジイ顔になるかどうかがここからの人生だと思う。そういう意味では、自分の人生の中では、『金八先生』から無事に降りて来られてよかった」と思いをはせていた。
また本書で武田は、今までほとんど言及してこなかった、亡き兄についてもつづっており、「鉄矢といえば母というのが宿命だったけど、(その陰には)兄と弟の長い戦いがありましてね。わたしは兄と母の取り合いをしていた」と述懐。その言葉の通り、書籍で武田は、ヒット曲「母に捧げるバラード」の背景には、甘え上手な兄から母を奪い返そうとした無意識の「コンプレックス」があったと告白している。
兄の死によってその感情がひっくり返ったという武田は、「兄が死んでしまうと面白いもので、それもいい思い出でしてね。死の直前、兄は家族を枕元に呼んで宝くじを買ってこいと言うんです。ろくでもないことばかりだったから、今ならそれがひっくり返って当たるかもって。面白いやつでしたね」と懐かしそうな顔を見せた。(取材・文:壬生智裕)
書籍「西の窓辺へお行きなさい 『折り返す』という技術」は発売中(税込み:1,470円) 小学館刊