ジェニファー・ロペス、独裁者を祝うパフォーマンスについて釈明
国境なき記者団による世界報道自由ランキングでワースト3位のトルクメニスタンで、ジェニファー・ロペスが、グルバングルィ・ベルディムハメドフ大統領の誕生を祝うパフォーマンスを行ったことについて彼女の代理人が釈明した。The Hollywood Reporterほか複数のメディアが報じた。
ジェニファー・ロペスは、現地時間29日にベルディムハメドフ大統領の56歳の誕生祝典に招待され、ライブ中に大統領に向けて「ハッピーバースデートゥーユー」を歌ったことが問題視された。この件に関して、ジェニファーの代理人は「人権問題のある国だと認識をしていれば、ジェニファーが出席することはなかったでしょう」と声明を発表した。
ジェニファーの代理人は、イベントにトルクメニスタン政府の要人が出席していたことを認めたものの、イベントは中国石油天然気集団公司によって企画運営されたもので、トルクメニスタン政府はかかわっておらず、政治的なイベントではなかったと主張。また、大統領にバースデーソングを歌ったことについて、事前の契約書には明記されていなかったもので、ジェニファーがステージに上がる数分前に中国石油天然気集団公司からリクエストされたものであると説明している。
トルクメニスタンは旧ソ連の一国で、1990年のサパルムラト・ ニヤゾフ元大統領の就任以来、反政府勢力やジャーナリストたちを排除する独裁政治が行われていたことで知られている。ニヤゾフ元大統領の死去後、2007年にベルディムハメドフ現大統領が就任し、インターネットの普及など開放政策を宣言したものの、現在も検閲や制限が厳重に掛けられており、閉鎖的な姿勢は貫かれている。
人権擁護を提唱するNPO団体The Human Rights Foundationは、「ロペスは、独裁者やその仲間たちのためにパフォーマンスをし、利益を得る権利を当然持っています。しかし、以前にロペスは、メキシコでの女性に対する暴力を抑止するためのアムネスティ・インターナショナルのプログラムにかかわったことがあるのですが、今回のロペスの行為は、その際に慎重に発せられたメッセージを台無しにしてしまいました」とコメントを発表している。(鯨岡孝子・澤田理沙・井本早紀)