インパルス堤下、主演抜てきに自虐…「僕は板倉のバーターですから」
6日、映画『樹海のふたり』初日舞台あいさつが、渋谷のユーロスペースにて行われ、映画初主演を果たしたお笑いコンビ・インパルスの板倉俊之と堤下敦、遠藤久美子、山口秀矢監督が登壇。山口監督からキャスティング秘話を聞いた堤下が「僕はバーターですから」とすねるシーンに会場は大爆笑だった。
先月22日、世界文化遺産に登録された富士山。その樹海を舞台にした本作に、山口監督は「1年以上前の撮影で、この時期に公開になったことは偶然なんですが、巡り合わせを感じる」と感慨深げ。
主演に抜てきされた板倉と堤下のキャスティング経緯について山口監督は「セリフのある35人の中で、最後まで決まらなかったのが主演の二人だったんです」と切り出すと「半年以上、主演を誰にするか悩んでいたとき、プロデューサーからインパルスのDVDを見せてもらったんです」と当時を振り返る。そして「人間観察から出るシュールなコントにクリエイターの匂いを感じ、板倉さんの(著書である)『蟻地獄』を読んで、この人だって思いました。半年悩んでいたのに、15分で即決です」と明かすと、満面の笑みを浮かべる板倉の横で堤下は「それって僕はバーターってことですよね」とすねると「僕の仕事は板倉のバーターですから、いつも!」と自虐ネタで会場を沸かせた。
監督から絶賛された板倉だったが、先日行われた完成披露試写の舞台あいさつでは、本人が「火ダルマに遭いました」と言うほどすべってしまい、事務所の社長からも苦い顔をされたという。その反省(!?)を踏まえたのか、この日は最初からギャグに突っ込みにと饒舌に会場を盛り上げ、マスコミ向けの写真撮影の際には、目線をカメラに合わせない妻役の遠藤に対しても「ちゃんとしないと!」とダメ出し。遠藤を笑いのダシに使い、遠藤から「わたし、こんなじゃないですからね! もっとちゃんとしているんですよ」言われるなど、絶好調だった。
本作は、報道番組の特集コーナーで自殺志願者たちを取材したテレビディレクターの実体験をもとに描かれたヒューマンストーリー。フリーのテレビディレクターの竹内(板倉俊之)と阿部(堤下敦)が商業主義に走った番組制作に疑問を持ち、自らの行動に真摯(しんし)に向き合いながら、命の大切さや前に進む力を描く。(磯部正和)
映画『樹海のふたり』はユーロスペースほか公開中 全国順次公開