恐怖映画に変化の兆し!? ユーモアも光るゾンビ映画
ゾンビ映画は怖くて気持ち悪いものと思われる方も多いだろうが、そんなイメージはここ数年で変わり始めており、異端のゾンビ映画が次々と登場している。
この流れを作り出したのは、21世紀に入ってイギリスで作られた2本の作品。一つは映画『28日後…』で、ゾンビ・パニックを逃れた青年のサバイバルを通して、今を生きる若者の現実との格闘を浮かび上がらせたリアルな青春ドラマでもあった。
もう一つの映画『ショーン・オブ・ザ・デッド』はコメディー・タッチで、大人になれないダメ男たちのサバイバルが描かれていた。いずれも異ジャンル混合を試みた意欲的な作品であると同時に、映画『ゾンビ』等のジョージ・A・ロメロ監督のホラー作品に敬意を表し、苛烈なバイオレンスが盛り込まれていた点は見逃せない。
これらの後、ゾンビ映画は多彩さを増すが、とりわけコメディー作品の充実には目を見張るものがある。多くはどこにでもいそうな、ごく普通の人間がパニックに襲われるというもので、観客の側も共感を抱きやすい。映画『ゾンビーノ』『ゾンビランド』『ロンドンゾンビ紀行』といった作品が好評を博したのは、このジャンルのファンには言うまでもないだろう。
変わり種は映画『ゾンビ革命 -フアン・オブ・ザ・デッド-』。これはキューパ初のゾンビ映画で、ソンビパニックに乗じて珍商売を考えるような、現実を直視できないダメ親父を主人公にしている。そんな彼が『ショーン・オブ・ザ・デッド』と同様に、混乱の中で責任感に目覚めるという、好感の持てるストーリー。こちらもバイオレンスはあるものの、愛すべきゾンビコメディーといえるだろう。
今後劇場公開されるゾンビ映画の注目作には『ウォーム・ボディーズ』がある。これはイケメン・ゾンビ青年が人間の女の子に恋をしてしまうというファニーでロマンチックな異色ゾンビ映画で、すでに欧米ではスマッシュヒットを記録している。「キモい」という先入観を捨てて、多様化するゾンビ映画に注目してみてはどうだろう。(猿園楽)
映画『ゾンビ革命 -フアン・オブ・ザ・デッド-』は8月19日夜11:00よりWOWOWシネマにて放送