ジャック・ケルアック原作「路上」の映画化『オン・ザ・ロード』を主演サム・ライリーが語る!
映画『コントロール』で注目を浴びた若手俳優サム・ライリーが、新作『オン・ザ・ロード』について語った。
同作は、内向的な作家サル・パラダイス(サム・ライリー)は、ある日正反対の奔放な男ディーン(ギャレット・ヘドランド)とニューヨークで意気投合し、彼と彼の幼妻メリールウ(クリステン・スチュワート)と共に、新たな可能性を求め放浪の旅に出る。ビートニク作家ジャック・ケルアックが自身の体験をつづったアメリカ文学の名作「路上」を、映画『モーターサイクル・ダイアリーズ』のウォルター・サレスが映画化した。
ケルアック作品に触れたのは「英国で育った僕は、アメリカの学校のように教材としてケルアック作品を学生時代に読まなくて、サリンジャーの『ライ麦畑でつかまえて』やヘルマン・ヘッセの『シッダールタ』を読んでいた。そしてこの映画のオーディション前の27歳の時にようやく読んだんだ。おそらく、この作品を読むには適した年齢ではなかった。この本がもたらすアピールに関しては惹かれたし、作品も好きだが、自分自身も(親元を離れ)自由に過ごし始めてからしばらくたっているため、客観的に読んでいた」。
俳優になる前に「10,000 Things」というバンドでボーカルだったサムは「バンド活動は25歳までやり、最初の映画『コントロール』が26歳の時だった。このバンド時代にグラスゴーからカーディフまでツアーをしていたが、今作のようにアメリカを横断するのはちょっと違うと思う。ただその体験が今作のアプローチにはなった」と語り、今作でも訪問場所が増える度に、他の俳優たちとの信頼関係も深まったそうだ。
ケルアックが自身を投影したキャラクター、サル・パラダイスを演じるうえで「撮影前にウォルター監督は、ケルアックの会話を集めたCDを渡してくれた。でも、その時の会話は小説『路上』の執筆後で、この放浪体験をした若いときのものではなかった。それでも幸運なことに、彼を演じるうえで、身体的に似せるため体を絞ったりする必要はなかった。あくまで映像を通して動作や振る舞いを観察し、CDで声を聴いていたが、ウォルター監督は比較的自由にサル・パラダイスを演じさせてくれた。そのため、有名なケルアックを演じるという重荷はなかった」。
映画は当時の世界観を見事に映し出し、社会の規範にとらわれない生き方を選択した中で、現実がしっかり待ち受けている状況が克明に描かれている。(取材・文・細木信宏/Nobuhiro Hosoki)