青山真治×菅田将暉『共喰い』、国際映画祭でダブル受賞の快挙!
青山真治監督が菅田将暉を主演に迎え、小説家・田中慎弥の同名芥川賞受賞作を映画化した『共喰い』が、第66回ロカルノ国際映画祭で「YOUTH JURY AWARD最優秀作品賞」と「ボッカリーノ賞最優秀監督賞」を受賞した。青山監督にとって同映画祭での受賞は、『東京公園』(2011)の審査員特別賞以来、2度目となる。
コンペティション部門に選出されていた『共喰い』は、昭和最後の夏の山口県下関市を舞台に、暴力的なセックスにふける父に嫌悪感を抱く17歳の男子高校生・遠馬の葛藤を描いた人間ドラマ。若い審査員たちが選ぶYOUTH JURY AWARDと、スイス国内の批評家たちが選ぶボッカリーノ賞で、最優秀作品賞と最優秀監督賞のダブル受賞を果たした。
YOUTH JURY AWARDの審査員は、「監督は繊細なテーマを、知性を持ってシンプルに表現し、その世界観は力強く豪華なキャスティングによってさらに昇華され、地方の小さな街のよどみに暮らす人々の居心地の悪さや不快感を見事にスクリーンに再現することに成功している」と作品を称賛。
「自分の生きる指標ができました」と受賞を喜ぶ菅田は、「19歳の自分の全てをさらけ出した作品です」「『共喰い』を経て、俳優として人の心に残る作品を“産み落として”いけるように頑張ろうと改めて思いました。全力でもがいていきたい、と」と充実感をのぞかせている。
青山監督は、「『共喰い』の世界と主人公・遠馬の苦悩が、若い人たちに理解されたことが何よりもうれしいです」と胸を弾ませ、「皆さんの女性の力に対する理解がこの作品によって深まったとしたら、この映画を作った甲斐があると思います」と受賞の喜びに浸った。(編集部・小松芙未)
映画『共喰い』は9月7日より新宿ピカデリーほか全国公開