宇崎竜童×阿木燿子×高橋伴明監督『TATTOO[刺青]あり』の貴重スリーショットが実現!
1982年の映画『TATTOO[刺青]あり』に主演した宇崎竜童、作詞家の阿木燿子、高橋伴明監督が22日、大分県由布市で開催中の第38回湯布院映画祭に出席、貴重なスリーショットを披露した。
今年の湯布院映画祭では、宇崎が役者および音楽として参加した7作品を上映。「どの映画でも、ちゃんと演じたいと思って脚本を読むのですが、『よーい、スタート』という声を聞いた途端に頭から全部がなくなる」と振り返る宇崎。
そして「結局、どれも素というわけではないけど、ちゃんと演じられた映画はひとつもない。映画は、ダメだったものがフィルムの中にずっと焼き付けられる。だからこういう特集を組んでいただくのは、とてもうれしいと思う反面、余計なお世話だと思う気持ちもあります」とジョーク交じり付け加えた。
実録犯罪映画屈指の傑作と言われる本作だけあって、観客からは「人生を変えられた」「何度観ても色あせない」といった絶賛の声が相次ぐ。しかし、その後に宇崎と高橋監督がタッグを組んだのは『禅 ZEN』などわずかな作品に限られる。「本当はしょっちゅう声をかけたいけど、『TATTOO[刺青]あり』みたいな作品で監督と俳優の関係になってしまった以上、おかしなことは頼めない。出演だけでなく、音楽もやってもらったのに、払うものは払っていないからね」と笑う高橋監督。
本作のエンディングに流れるのが、阿木作詞、宇崎作曲による名曲「ハッシャバイ・シーガル」。哀愁を帯びたメロディーとともに宇崎が「そんなに何を生き急ぐのか」と歌いあげる。宇崎は「最初はメロディーだけだったんですよ。それを伴明さんがやっぱり歌詞をつけようよと言って。それが今でもライブで歌い続けている。あれは映画が書かせてくれた曲だった」としみじみ。阿木も「映画主題歌の仕事って、作る段階で全編観られるわけじゃないので、歌詞がハマったなと思えるときが楽しい」と笑顔。「最近の映画主題歌って、中身とは関係ないような、最後にこの歌でいいのか、というものもある。機会があったら、映画の最後にパッとハマって。そこまでやってきた99パーセントが100パーセントになるような主題歌を作りたい。別に伴明さんにおねだりしているわけじゃないけどね」と語る宇崎に、高橋監督も「ぜひとも」と返し、再タッグに意欲を見せた。(取材・文:壬生智裕)
第38回湯布院映画祭は8月25日まで由布市の湯布院公民館で開催中