宮崎駿監督、引退コメント全文…「ぼくは自由です」
1日に長編映画からの引退を発表した宮崎駿監督が6日、都内で記者会見を行い、公式引退の辞を発表した。
宮崎監督は「あと10年は仕事をしたいと考えています」と切り出すと、年々長編作品の発表ペースが遅くなっていることを自ら指摘。「“風立ちぬ”は前作から5年かかっています。次は6年か、7年か……それではスタジオがもちませんし、ぼくの70代は、というより持ち時間は使い果されてしまいます」と長編映画からの引退を決意した理由が“時間”であることを明かした。
ただし、長編映画からの引退以降も作家活動は続けるとのこと。「やってみたいことや試してみたいことがいろいろあります」という宮崎監督は、その具体例として「三鷹の森 ジブリ美術館」の展示を挙げている。
今回の引退をもって、1985年の設立からスタジオジブリに関わってきた宮崎監督は同社のプログラムから外れることになる。「ぼくは自由です」とコメントの最後で高らかに宣言した宮崎監督だったが、「といって、日常の生活は少しも変わらず、毎日同じ道をかようでしょう」と今後について言及した。(編集部・福田麗)
宮崎駿監督の公式引退の辞(全文)は以下の通り。
ぼくは、あと10年は仕事をしたいと考えています。自宅と仕事場を自分で運転して往復できる間は、仕事をつづけたいのです。その目安を一応“あと10年”としました。
もっと短くなるかもしれませんが、それは寿命が決めることなので、あくまでも目安の10年です。
ぼくは長編アニメーションを作りたいと願い、作って来た人間ですが、作品と作品の間がずんずん開いていくのをどうすることもできませんでした。要するにノロマになっていくばかりでした。
“風立ちぬ”は前作から5年かかっています。次は6年か、7年か……それではスタジオがもちませんし、ぼくの70代は、というより持ち時間は使い果されてしまいます。
長編アニメーションではなくとも、やってみたいことや試したいことがいろいろあります。やらなければと思っていること--例えばジブリ美術館の展示--も課題は山ほどあります。
これ等は、ほとんどがやってもやらなくてもスタジオに迷惑のかかることではないのです。ただ家族には今までと同じような迷惑をかけることにはなりますが。
それで、スタジオジブリのプログラムから、ぼくをはずしてもらうことにしました。
ぼくは自由です。といって、日常の生活は少しも変わらず、毎日同じ道をかようでしょう。土曜日を休めるようになるのが夢ですが、そうなるかどうかは、まぁ、やってみないと判りません。
ありがとうございました。