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宮崎駿、高畑勲への感謝、そして尊敬…「あの人はまだまだやる気ですよ」

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東映動画時代の先輩後輩である高畑勲監督と宮崎駿
東映動画時代の先輩後輩である高畑勲監督と宮崎駿

 公開中の映画『風立ちぬ』をもって長編映画の制作からの引退を表明した宮崎駿監督が6日、都内で記者会見を行い、東映動画(現・東映アニメーション)時代の先輩で、共に作品を作り上げてきた高畑勲監督への感謝、そして尊敬の念を明かした。

高畑勲への思いを語った宮崎駿…引退会見フォトギャラリー

 宮崎監督と高畑監督の出会いは東映動画時代までさかのぼる。「高畑勲と僕は会社が組ませたんじゃないんです。僕らは労働組合の事務所で会って、ずいぶん長い間話をしました」と振り返った宮崎監督は、「自分がそれなりの力を持って彼と一緒にできたのは(1974年の)『アルプスの少女ハイジ』が最初だったと思うんですけど、そのとき打ち合わせが全く必要のない人間同士になっていたんです」と、まさに“あうんの呼吸”だった高畑監督とのコンビを語った。

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 当時の二人は、高畑監督が演出(監督)、宮崎監督がアニメーターという関係だった。制作スケジュールに遅れるたびに始末書を会社に提出していた高畑監督を見て「僕は監督をやりたくない。やる必要がない」と思っていたという宮崎監督だが、1978年の「未来少年コナン」で事実上の初監督を務めることになる。その当時を宮崎監督は「本当に途方に暮れたんです。音楽家と打ち合わせといわれても、何を打ち合わせしたらいいかわからない。僕は初めから監督や演出をやろうという人間ではなかったんです。その戸惑いは『風立ちぬ』までひきずっていたと僕は今でも思いますけどね」と述懐する。

 だが、そんなときに手を差し伸べてくれたのが高畑監督だった。「途中、パクさん(高畑)に助けてもらったこともありますけどね」と演出面での高畑監督からの影響を明かした宮崎監督は自身の監督としてのスタンスについて、「そういった、チームというか腐れ縁があったおかげで、やってこられたんだと本当に思います。決然と立って、一人で孤高を保っているという監督では全然なかった。わからないものはわからないんだと、そういう人間として最後までやれたんだと思います」と評した。

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 後に高畑監督は宮崎監督の『風の谷のナウシカ』『天空の城ラピュタ』といった作品でプロデューサーを歴任し、共にスタジオジブリにも参加した。近年は以前のように共同で作品を作ることはなくなったが、その絆は揺らぐことがない。この日の引退会見に際しても、現在77歳の高畑監督に「一緒にここに並ぼうよ」と持ちかけたというが、「高畑監督には『何を言っているんだ』という顔をされました。あの人はまだまだやる気ですよ」とそのときのやり取りを思い出して頬を緩めた宮崎監督。高畑監督の実に14年ぶりの新作『かぐや姫の物語』(11月23日公開予定)については「観ることになると思うけれど、(制作中の今は)失礼だからのぞかないようにしています」と同じ創作者として尊敬の念を今も抱いていることを明かしていた。(編集部・福田麗)

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