第65回エミー賞 ネット配信ドラマは主要部門1冠のみ!注目は最終シーズン放送中の「ブレイキング・バッド」
22日(現地時間)に行われた、第65回エミー賞授賞式。今年は近年の傾向である映画界のビッグネームの本格的なテレビ進出が相次ぎ、各界から豪華スターが集結。日本でも海外ドラマ専門チャンネルAXNで生中継されるなど注目度は例年以上に高かった。受賞結果から、各部門を振り返ってみたい。
ドラマ・シリーズ部門は、いずれ劣らぬ秀作から受賞を分け合う形となった。意外性もありながら、終わってみれば納得のいく結果といえるだろう。順当だったのは、「HOMELAND」で2年連続受賞となった主演女優賞のクレア・デインズ。ブライアン・クランストン、ケヴィン・スペイシーら強豪を抑えての受賞となった、「ニュースルーム」のジェフ・ダニエルズはややサプライズだったが、実力からすれば文句なしである。そして最も注目度が高く、また今回の受賞作品として盛り上がったのは、現地では最終シーズンの後半エピソードが佳境を迎えて追い風ムード満点だった「ブレイキング・バッド」が、作品賞を受賞した瞬間だった。受賞するなら最後のエントリーとなるであろう来年ではないかと予想されていたが、うれしい初の同賞受賞の栄誉に輝いた。
コメディー・シリーズ部門は、「ヴィープ(原題) / Veep」が強さを発揮したが、主演男優賞は「ビッグバン★セオリー ギークなボクらの恋愛法則」のジム・パーソンズが返り咲きで3度目の受賞。この勢いで作品賞受賞となるかと思われたが、ここは「モダン・ファミリー」が4連覇を達成して王者の貫禄を見せた。また、ミニ・シリーズ / テレビムービー部門は、スティーヴン・ソダーバーグによる「恋するリベラーチェ」が作品賞、主演男優賞、監督賞に輝き下馬評通りの強さを発揮した。
インターネット配信のみの「ハウス・オブ・カード 野望の階段」は主要部門としてはデヴィッド・フィンチャーの監督賞受賞にとどまったが、今後は同スタイルが増えることは必至。放送局の在り方や、テレビドラマの定義そのものに変化をもたらすであろうモニュメント的な作品であることは間違いない。(今祥枝)