約2,500名の中から大抜てき “平成のおしん”誕生秘話
最高視聴率62.9パーセントの国民的ドラマを映画化した『おしん』でヒロインを務める9歳の少女・濱田ここねが約2,500名のオーディション応募者の中から“平成のおしん”に抜てきされた理由を本人に聞いてみた。
自己紹介やインタビューなどのオーディション項目では「緊張した」という濱田だが、お芝居の実技に入ると一変。「『母ちゃん』や『おれ、奉公さ行く』というセリフに動作をつけて演技をしたら、緊張がなくなりました」と頼もしいひと言。控え室で待機しているときに「決まりましたよ!」と報告を受けたそうで、「とてもうれしくて、本当にビックリしました。『うおー!』って自分の中で思って、泣いてしまいました」と当時の感激ぶりを振り返った。
自分が選ばれた要因は「明るすぎだから!?(笑) そこがよかったのかな」と性格を挙げた濱田。国民的ヒロイン・おしんを演じるにあたって「おしんのことを、場面ごとにちゃんと考えてやろうと。あと、自分が思っていないのにお芝居しようとするとダメだから、ちゃんとやろうと思いました」と明かし、愛らしい笑顔で魅了する少女の裏側にあるストイックさが露呈した。
家計を助けるために寂しさを押し殺して奉公に励むおしんのひたむきな姿に涙を流し、心を打たれる観客も多いだろう。それは、違和感のない方言を駆使して、見事におしんに成りきった濱田の演技あってこそ。将来に大きな期待がかかるが、「ミュージカルに出たり、難病の子のために薬などの研究をしたい」と本人が見ている景色は、はるかに広い世界だった。
本作は、橋田壽賀子原作のNHK連続テレビ小説「おしん」の少女時代に焦点を絞った物語。おしんの母を上戸彩、父を稲垣吾郎が演じている。中国版アカデミー賞として知られる中国本土最大の映画祭「第22回金鶏百花映画祭」では日本映画として初めて国際映画部門最優秀作品賞を受賞する快挙を達成した。(編集部・小松芙未)
映画『おしん』は10月12日より全国公開