映画『風立ちぬ』メイキングセミナー、CG担当の三好紀彦氏が製作状況を紹介
29日、映画『風立ちぬ』のメイキングセミナーが、都内デジタルハリウッド大学の駿河台ホールで行われ、同学校の卒業生で、スタジオジブリ所属のCGアーティストでもある三好紀彦氏が、詳細な資料と共に製作状況を紹介した。
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三好氏は「『えっ!』と思うかもしれませんが、ジブリでCGを担当する人は3人だけ」のように紹介したものの、「それだけに大変な部分はあるけれど、やると思ったことはなんでもできる」と、任された現場の手ごたえも口にした。
スクリーンでは、主人公の堀越二郎が見上げる入道雲などを作成する手順を詳細に説明した。作業中の宮崎駿監督については、「完成の絵が頭の中にある方で、最初の段階で『ここは手書き、ここはCG』と決まっていて、指示をもらうたびに良くなっていくのが目に見えてわかる」と、作業での関わり具合を語った。
また映画における飛行機が飛ぶシーンは、「CGは紙飛行機が飛ぶ背景にひとつあったくらい。全部手描きです。宮崎監督の思い入れですね」と、強いこだわりがあったことも語っている。
そうした宮崎監督のイメージと、若手製作者の間に感覚の違いが生じることもあったそうで、一例として機関車のスピードに触れ、「水上駅(群馬県)にSLを見に行ってきました。原付並みに遅いんです。実際に目で見るのが大事なんですね」と、作画以前の苦労話を思い返すこともあった。
セミナーでは、スタジオジブリ最新作となる高畑勲監督作品の映画『かぐや姫の物語』も紹介。三好氏も昨日でようやく作業を終えたそうで、「後2週間くらい。大詰めです」との追い込み状況。作品は手描きタッチを表現するために、1カット1500枚もの作画枚数になるそうで、「この質感で絵を動かすのは大変」としみじみ語った。
最後にアニメ業界を志す人に向けて「常に人出不足でもあるので、興味のある人はどんどん入ってきてください」と呼びかけた。(取材・文:県田勢)
映画『風立ちぬ』は全国公開中
映画『かぐや姫の物語』は11月23日、全国公開