寺島しのぶ、99歳の老婆役に挑戦!三島由紀夫「卒塔婆小町」で
女優の寺島しのぶが30日、都内で行われた「三島由紀夫生誕90年・没後45年記念プロジェクト」第1弾DVD製作発表記者会見に出席し、「卒塔婆小町」で99歳の老婆を演じた心境を語った。この日は、寺島のほか「卒塔婆小町」に出演した北村有起哉、「葵上」に出演した中谷美紀、柄本佑、そして両作品でメガホンを取った根岸吉太郎監督が出席した。
三島が2015年に生誕90年・没後45年を迎えることを記念して企画された今回のプロジェクトでは、傑作の誉れ高い戯曲集「近代能楽集」(全8編)を映像化。毎回、日本を代表する女優を主演に迎え、原文を一言一句変えることなく演出された世界を、高性能カメラで撮影、編集するというスタイルを採用し、第1弾として「卒塔婆小町」と「葵上」が製作された。
「卒塔婆小町」で99歳の老婆を演じることになった寺島は、「舞台ではいろんな『卒塔婆小町』を観てきましたが、まさか自分がこの年でやるとは思っていませんでした」と心境を吐露。「自分にできるのか心配でしたが、(根岸)監督が『一緒に心中してくれ』と言ってくださったので、とても気持ちが楽になりました」と述懐した。
さらに「台本には『世にもおぞましい老婆』と書いてあったので、顔中シリコンだらけで過ごしました」と老婆に見せるために2時間かけて特殊メイクを施したと明かした寺島。「しかし、そのシリコンを取っても老婆みたいなしわが残ってしまっていて、何日も消えなくて大変でした。ずっと腰も曲げていましたし、99歳のおばあさんになるのは大変だなと思いました」と笑った。
一方の中谷は、「最初、寺島さんのスケジュールが合わないかもしれないと聞いて、わたしも老婆をやってみたいと思ったんです。でも、しのぶさんが演じた老婆が本当に素晴らしくて。しのぶさんに演じてもらって本当によかったと思いました」と寺島の老女役を絶賛した。
両作を手掛けた根岸監督は、「今回の映像化は大変な冒険だったと思うが、舞台とは違う、新しい映像的な要素をどうやって入れていくかを一生懸命考えました。今回は素晴らしいキャストを得て、この人たちが三島のレトリック豊かな戯曲を一句たりともたがえずに演じ、緊張した撮影の毎日でした。舞台とも文学とも違う、新しい魅力の作品ができたと思います」と自信を見せていた。(取材・文:壬生智裕)
近代能楽集「卒塔婆小町」「葵上」DVDは10月31日発売(税込み:各6,090円)