全編英語!濱田岳出演『SAKE-BOMB』がロンドンの映画祭で上映
ロンドンで開催中の第21回レインダンス映画祭で、俳優の濱田岳が英語での演技に挑んだ映画『SAKE-BOMB』(原題)のヨーロッパ・プレミアが開催され、上映後、監督のサキノジュンヤが質疑応答を行った。レインダンス映画祭は、ヨーロッパ最大のインディペンデント映画祭だ。
タイトルである「SAKE-BOMB」とは、ビールグラスの中におちょこごと日本酒を落として作る、日本酒とビールのカクテル。本作では、ビールジョッキの口に渡した箸の上にのせたおちょこを、「SAKE-BOMB」の掛け声でテーブルをたたいて落とすという、パーティーを盛り上げる場面に使われている。
「(SAKE-BOMBは)イギリスにもある?」と問い掛けたロサンゼルス在住のサキノ監督は、首をひねる観客に「そうだよね。アメリカのものだと思う。僕もショックを受けたもの。日本酒とビールを混ぜるなんて、むちゃくちゃだよ!」と応じて笑いを誘う。「でも同時に、アジアのものと西洋のものを混ぜるのを面白いとも思ったんだ。東洋と西洋の出会い。コンセプトはそこから出た」とSAKE-BOMBがインスピレーションのもととなったことを明かした。
「13年前にアメリカに渡ったとき、アジア系アメリカ人のことをあまり知らなかったから、半自伝的な映画でもある」とサキノ監督が言う本作では、日本からやって来た青年ナオト(濱田)と、アメリカ生まれのいとこ・セバスチャン(ユージン・サミュエル・キム)の珍道中が描かれる。アジア系民族に向けられるステレオタイプな見方に怒りをあらわにするセバスチャンと、日本の田舎から出てきたおっとりしているナオトが好対照だ。
濱田は英語が全くわからないようだったため、「全編英語だから、撮影まで1か月しかないのにどうなるかと思ったよ」と心配したというサキノ監督だが、実際撮影が始まってみると「最初の『ナオトです』というのは、言えた。それに続く長い独白シーンはどうかな? と思っていたら、それも見事にこなしたんだ!」と濱田のプロ根性に舌を巻いていた。(取材・文:山口ゆかり / Yukari Yamaguchi)