『ラブ・アクチュアリー』のリチャード・カーティス監督がタイムトラベル映画に挑戦! (ニューヨーク映画祭)
映画『ラブ・アクチュアリー』のリチャード・カーティス監督が、ニューヨーク映画祭(N.Y.F.F'51)に出品している話題作『アバウト・タイム(原題) / About Time』について語った。
同作は、21歳のティム(ドーナル・グリーソン)は、父親(ビル・ナイ)から一家の男子は全員タイムトラベルの能力を持つことを知らされ、ロンドンで知り合った魅力的な女性メアリー(レイチェル・マクアダムス)に対して、タイムトラベルを使って関係をより良くしようとするが、思うようにいかず苦戦するという内容のSFロマンチック・コメディー。
製作経緯は「アメリカのニューメキシコ州に住む友人サイモンと話をしていた時、彼から『もし“完璧な日”があるとしたら、どんな日だろう?』と聞かれたんだ。10年前なら、宝くじを当てた日とか、オスカーにノミネートされた日だっただろうが、その時はしばらく会っていなかったサイモンに会えたことが“完璧な日”だった。その後、どんな日だったらハッピーになるのかを真剣に考えながら製作を企画し、それがタイムトラベルにつながったが、タイムトラベルという、いつの時代にも行ける能力を持ちながらも、実際には与えられた日常に主人公が感謝できるようにしていった」と答えた。
若手ドーナル・グリーソンの起用について「最初から知名度の高くない俳優を主役にするつもりだった。それで20~30人の俳優を見たが、ドーナルはオーディションの時は『アンナ・カレーニナ』の撮影中で、役柄のために赤いひげを生やしていて35歳くらいに見えた。だが、彼はオーディションで素晴らしい演技をした上、スケッチコメディーなどの経験もあって、ジョークに長けていた」と決定理由を語った。
メアリーとティムが真っ暗で何も見えないレストランを訪れるシーンについて「あれはロンドンのDans Le Noirだ。僕はレイチェルとドーナルたちと下見に行ったが、問題は、顔が見えないため笑っているかわからないことだった。ジョークを言っても表情が見えないし、そのままジョークを言い続けていいか迷ったよ(笑)。店内での撮影は暗くて何も見えなかったから、結局、後で彼らの声だけをレコーディングして、観客は店の外観が映し出される中、会話だけを聞く設定にした」と明かした。
映画は、通常のタイムトラベル作品と一線を画し、恋人だけでなく、家族と過ごした時間にも重きを置いて描いているところが魅力的な作品になっている。(取材・文・細木信宏/Nobuhiro Hosoki)