ソフィア・コッポラ監督、SNSとティーンのつながりに警鐘!新作で描くのは若者強盗団!
無軌道な若者が起こす被害総額約3億円に上る実際の窃盗事件を映画化した『ブリングリング』のソフィア・コッポラ監督が先日来日し、現在のセレブ至上主義の若者とSNSが融合した際の怖さを熱く語った。
「わたしがティーンの頃、インターネットやリアリティー番組といったものはなかった。思春期の頃は頭が混乱し、処理能力がない。そこにSNSなどを通してさまざまな情報が入ってくることで、今のティーンはわたしたちの時代よりも混乱していると思うわ」と語るコッポラ監督。
長編デビュー作『ヴァージン・スーサイズ』以来、自身のアイデンティティーを追求するティーンの姿を描いてきた彼女だが、この最新作では監督が共感を持てないティーンをあえて描くことに挑んだ。実際「逮捕された彼らが出廷するとき、セレブ気取りで、まさにアンディ・ウォーホルの『誰でも15分間は有名人になれる』という言葉通りだった」と語った監督は「わたしは彼らがこれ以上有名になるのがイヤなので、実名を使っていません」と強い意志を示す。
本作の主人公たちは、セレブの洋服やアクセサリーを身に着けることで彼ら自身になったかのように友達に自慢する。その姿はある種、アルバイト中の不祥事を撮影した画像をインターネット上にあげる日本の若者とリンクする。「先を考えず行動してしまうティーンとSNSがくっつくことは、大変危険なこと。まだ新しい現象なので、これからどういった弊害が出てくるかわからないわね」と心配そうな表情を浮かべた。
またこれまでキルステン・ダンストやスカーレット・ヨハンソンなど、子役出身の俳優を起用し、本格女優への一歩を後押ししてきたコッポラ監督は今回、強盗団の一人にエマ・ワトソンを起用した。「ティーンを描く作品なので、自然と若い女優をキャスティングするだけ」と笑いながら語る彼女だが、第一線を歩いていく子役出身女優を見極める能力は確かだといえるだろう。(取材・文:くれい響)
映画『ブリングリング』は12月14日より渋谷・シネクイントほかにて公開