ベン・スティラー監督・主演のリメイク版『虹を掴む男』とは?
第51回ニューヨーク映画祭(N.Y.F.F'51)の出品作『ザ・シークレット・ライフ・オブ・ウォルター・ミティー(原題) / The Secret Life of Walter Mitty』について、ベン・スティラーとクリステン・ウィグが語った。
ベン・スティラー出演映画『ミート・ザ・ペアレンツ』写真ギャラリー
同作は、ライフ誌のスタッフとして働くウォルター・ミティー(ベン)が、日頃から社内で恋心を抱くシェリル(クリステン)と共に過ごす空想の世界に思いをはせていたある日、担当を任された雑誌のカバーに必要な写真がないことに気付き、その写真を求めて写真家ショーン(ショーン・ペン)を追跡しながら世界中を旅するというもの。ベンは本作で主演・監督・製作を担当し、1947年の映画『虹を掴む男』をリメイクした。
リメイクのきっかけについてベンは、「今作の製作者ジョン・ゴールドウィンと彼の父親サミュエル・ゴールドウィン・Jrは、ずいぶん長い間このリメイクを考えていたんだ。企画当初は原作にはこだわらずに製作しようと思っていたが、脚本家のスティーヴ・コンラッドが新たなアプローチを図ったことがきっかけになった」と明かし、その内容は「オリジナルの主演だったダニー・ケイとは少し違う設定にして、主役のウォルターに感情移入でき、なぜ彼が白昼夢に襲われるのかも理解しやすいようにした」と教えてくれた。
原作は1939年に発表されたものだが、「(その世界を現代化する上で)脚本家のスティーヴはわれわれがアナログからデジタルの世界に入ってきたことを表現するために、ライフ誌でウォルターが働いている設定にして、出版会社がコストや従業員の削減、さらに雑誌自体がなくなっていく現状を描いた。ウォルターが空想する世界だけでなく、そういったリアルな現在の社会も描かれている」とベンは語った。
今作に参加した経緯についてクリステンは「わたしが出演する『サタデー・ナイト・ライブ』でベンが司会をしたことで親しくなって、今作の映画に参加したの」と答え、さらに彼の演出については「この映画を監督として製作するだけでもかなり難しいと思うけれど、主演俳優として、他の俳優が演技しやすいように導いていく彼を横で見ていて、素晴らしいと思ったわ」とベンの仕事ぶりを称賛した。
映画は、空想の世界で生きていた男が現実の世界を冒険することで、新たな可能性を追い求めていくすてきな作品に仕上がっている。(取材・文・細木信宏 / Nobuhiro Hosoki)