松山ケンイチ&蒼井優『春を背負って』クランクアップ!木村大作監督第2作
日本映画界を代表する名カメラマン・木村大作の第2作目となる監督作品『春を背負って』が28日、クランクアップを迎え、会見に松山ケンイチ、蒼井優、豊川悦司、檀ふみ、新井浩文ら主要キャストが登場した。富山・立山連峰での過酷なロケを中心に、約7か月間に及ぶ撮影を終えた木村監督は「雪で埋まった山小屋を掘り起こし、自分たちで自炊をしながら撮りました。素晴らしい大自然と素晴らしい俳優を僕が撮っている。とてもいい映画です」と手応えを語った。
本作は、木村監督にとって、興行収入25億8,000万円の大ヒットを記録した初監督作品『劔岳 点の記』から約4年ぶりとなる作品。笹本稜平氏の同名小説を原作に、亡き父の残した山小屋を継ぐことを決意したエリート会社員の亨(松山)と、彼の家族や小屋に集う人間たちとの温かな交流を描いたヒューマンドラマ。
クランクインしたのは、雪がまだ深く積もる今年の4月。17人という少数スタッフたちが30キロもの機材や小道具などを背負い、5時間かけて山に登った。松山らキャストたちも3,000メートルにおよぶ立山を登り、男性キャストはスタッフたちと寝袋で雑魚寝するという合宿状態で撮影が行われた。
「このカットをもちまして、全て終わりです! おめでとうございます!」と大声でラストカットを撮り終えた木村監督は、スタッフたちに胴上げされて宙を舞った。人生の居場所を求める青年が、大自然と共に成長していく姿を演じた松山は「過酷な部分ももちろんありましたが、皆さんに支えられて最高のものが出来上がりました」と語り、ヒロインを演じた蒼井は「本物の場所に連れて行かれると、自分の演技プランがちっぽけに思わされてしまう。今回は頭で考えることを一切やめました。そういう新しい体験に挑戦できたのは、この組だからこそだったと思います」と笑顔を浮かべた。
「みんなと同じところを目指しながら、山を目指しながら、僕らはスタート地点に向かっているので、自分の俳優という原点を考える時間を与えていただいた。素晴らしい経験だったと思います」という豊川の言葉通り、俳優たちは木村監督と大自然のもとで役者としても大きな成長を遂げたよう。
初監督作品に続き、2作目の出演作となった新井の「これからも何本も映画を撮っていただきたいです」という一言に顔をほころばせた木村監督は現在74歳。「宮崎駿監督は引退したけど、自分はまだまだ作品を撮りたい」とエネルギッシュな映画への情熱をほとばしらせる木村監督の最新作に期待は高まるばかりだ。(編集部・森田真帆)
映画『春を背負って』は2014年6月14日より全国東宝系にて公開