宮本信子、故・地井武男さんをしのぶ 遺作『かぐや姫の物語』で夫婦役
スタジオジブリ高畑勲監督の最新作『かぐや姫の物語』の完成報告会見が7日、グランドプリンスホテル新高輪で行われ、本作が映画出演における遺作となった故・地井武男さんを共演の宮本信子、朝倉あきらがしのんだ。この日は宮本と朝倉のほか、高畑監督、高良健吾、田畑智子、上川隆也、宇崎竜童、朝丘雪路、脚本の坂口理子、主題歌を担当する二階堂和美、日本テレビの大久保好男社長も出席した。
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本作でかぐや姫の声を務めた朝倉は、「2年前のオーディションがつい昨日のようです。先日、出来上がった作品を観て、改めてここまで自分を支えて育ててくださった多くの方に感謝したい気持ちでいっぱいです」と映画の完成に感無量の様子。竹取の媼(おうな)役の宮本も、「この役を本当に自由に演じられたと思います。とても楽しい仕事でした。参加させていただいてうれしかったです」と喜びを表した。
さらに、宮本は「日本が誇るアニメーションの古典になると思いました。これはアニメじゃないとできない映画。日本古来の浮世絵や絵巻が動き出したような感覚を覚えました。素晴らしいスタッフによる筆遣い、色彩感覚。日本人じゃないとできないような映画であることにビックリしました。世界に飛び立って、月まで行ってもらいたいと思っています」とユーモラスな表現で会場を沸かせた。
また、昨年6月に心不全のため亡くなった地井さんとの共演について、朝倉は「完成した映画で地井さんの声を久しぶりに聞いて、ご一緒したときのことがよみがえりました」とコメント。宮本も「地井さんは若い頃から知っておりますし、わたしたちは東宝映画の『放課後』という森谷司郎監督の映画でも夫婦役をやっていました。何十年たってもお互い変わらないねと肩をたたき合って。同級生、同窓生のように、楽しく仕事をしました」と述懐し、「(声を収録した)2年前はまだまだお元気でしたね。今は月で見守っているんじゃないでしょうか。地井さんはとてもすてきでした」と亡き名優をしのんだ。(取材・文:壬生智裕)
映画『かぐや姫の物語』は11月23日より全国公開