亀梨和也『俺俺』アメリカ公開!三木聡監督が語る
テレビドラマ「時効警察」で脚本/演出を務めた三木聡監督が、これからアメリカで公開される新作『俺俺』について語った。
本作は、日常に不満を持つ家電量販店で働く青年永野均(亀梨和也)は、飲食店で隣に座った自分に似た男の携帯を盗み、なりゆきでオレオレ詐欺をするが、その日から自分に似た「俺」が増殖する奇怪な出来事が起き、やがて「俺」同士がお互いを削除していくという、作家星野智幸の同名小説を映画化した作品。同僚の会社員役を加瀬亮、均が恋心を抱くサヤカ役を内田有紀が出演している。
原作のどの点に共感を持ったのかとの質問に「星野さんの作品は横浜の日吉が舞台で、僕自身も横浜で育ったので、この辺りを知っていたんです。最近、東京からではなく、むしろ東京から離れた郊外で、文化みたいなものが生まれる傾向があって、あのAKBも郊外型のアイドルという感じがします。そんな郊外に日常やリアリティーを求めていく原作の感じが、僕と星野さんの世界観が共通すると思ったんです」と明かした。
亀梨和也のキャストについて「今作は役者さんが役作りで演じていくのではなくて、目の前に起こったことに対して、(役柄を)スイッチしていくため、亀梨君のようにスポーツキャスター、アイドル歌手、俳優と、いろいろなキャラクターをスイッチしている彼には適役で、彼なら33人役を演じられると思いました」と答えた。さらに演出については「あの3人で冷やし中華を食べるシーンは合成していたため、結構綿密なリハーサルをしなければ撮影できませんでした。ただキャラクターに関しては、姿勢や、しゃべり方でずいぶん人の印象が変わるので、衣装合わせで彼と話しながらそれぞれの役を決めていきました」と語る通り、亀梨の変装ぶりも見所だ。
今作の均のように、もし自分に似た誰かに嫌なことを任せるとしたら「 もちろん、わかってくれている人が居るということが前提ですが、僕自身は一般に受ける作品を製作していません。でも、決して大きな作品を作りたくないわけではないのですが、それをすることによって失うこともあります。だから大衆に向かって作るような映画を、自分に似た別のキャタクターにやってもらえたら楽は楽ですね」と本音を明かした。
映画は、自分自身も良く理解していない人間が、自分に似た他人によって、自分の居場所を気付かされていくという個性的な作品。(取材・文・細木信宏/Nobuhiro Hosoki)