犬猫の殺処分ゼロを目指す!殺処分の現場に密着し製作期間3年を費やした『ノー・ヴォイス』
24日、犬猫の殺処分問題を取り扱った映画『ノー・ヴォイス』のトークイベントがキネカ大森にて行われ、出演者の市瀬秀和、樋口夢祈、大蔵淳子、古新舜監督が登壇した。
「捨てられる命ゼロを目指す!」をテーマに3年間の歳月を費やし製作された本作。古新監督は「知り合いが千葉県にあるアニマルシェルター(行政機関で殺処分されるはずだった子犬・子猫・成犬・成猫たちの里親募集活動を行う施設)にいまして、殺処分になる犬猫の数の多さや、行き場のない子たちの現実を知ったんです。そしてそこで働く方々が『自分たちの仕事がなくなることが夢』と話されたのを聞いて、何かできることはないのかと思ったんです」と製作のきっかけを語る。
撮影の舞台となったのはさいたま市にある動物愛護ふれあいセンター。劇中に登場するのはいわゆるタレント犬ではなく、実際センターにいる犬猫たち。主演の市瀬は「ボロボロのバッグに入れられて捨てられていた犬や、人を信用していない犬などを見せられ、胸が詰まる思いだった」と撮影を振り返ると、樋口も「人間を信用している犬と、そうではない犬では表情が違うんです。捨てられた犬猫たちの現実の姿がこの作品には映し出されています」と切実に語った。
また撮影中には、里親がみつかり、犬が引き取られていくシーンにも遭遇したという市瀬。「その姿を見て、所長が涙を流していたんですよね。でも同時に、センターにはこの犬だけじゃなく、まだまだたくさんの犬猫がいるという現実も突きつけられました。この映画でその部分も伝えることが出来たら」と強い眼差しで訴えかけていた。
殺処分以外にも、去勢問題なども描かれている本作。殺処分ゼロを目指すことについて「この映画がスタートだと思っています。現実を知っていただき、この輪を少しでも広げていっていただければ」と古新監督は客席に語りかけていた。
本作は、生きる希望を失った青年が、1匹の捨て犬を拾うことによって希望を見出していく姿を描いたドラマ編と、犬猫の殺処分を減らすべく活動している人々の声を綴ったドキュメント編の2本立てで構成されている映画。ドキュメント編のナレーションを女優の浅田美代子が担当している。(磯部正和)
映画『ノー・ヴォイス』はキネカ大森にて公開中、12月21日よりオーディトリウム渋谷ほか全国順次公開