ベティ・ペイジの知られざる苦悩…伝説のボンデージ・モデルの裏側
ボンデージ・モデルの草分け的な存在だったベティ・ペイジが題材のドキュメンタリー映画『ベティ・ペイジ・リヴィールズ・オール(原題) / Bettie Page Reveals All』について、マーク・モリ監督が語った。
同作は、ピンナップモデルとして今でもカルト的人気を誇るベティの少女時代から、マリリン・モンローと比較されるほどの全盛期、30代半ばで芸能界を離れた理由などに迫ったドキュメンタリー。芸能界を去った後は表舞台に姿を現さなかったベティのインタビューが、今作のナレーションとして使用されている。
「1996年、僕が芸能界の弁護士と会食していた際に、彼から出版する前のベティの伝記本を見せられたんだ。それまで僕は政治的な題材のドキュメンタリーを製作していて、何か違った題材を映画にしたかった。当時の僕はベティについて何も知らなかったが、その弁護士を通じて当時70歳代だった彼女に会うことができた。当時の彼女は、今でも誰かが彼女に興味を示していることに驚いていた」と明かした。
ベティはイメージと違い、「知識人と言えるかわからないが、明らかに頭がよかった。彼女は 学生時代は優等生で、モデル時代には自分のポージングをデザインしていたよ 」と語った。
ベティが父親から性的虐待を受け、母親からは嫌われていた環境下で育ったことについては「彼女が成長して男性との付き合いがうまくいかなかったのは、育った環境が原因だと思うが、彼女の体験したことは当時、他の家族でも起きていたことで、必ずしもその体験からボンデージ・モデルになったとは言えないと思う。ただ、その性的虐待のせいか、彼女が初めてポルノを鑑賞した時に恐怖を感じたと語っていた」と彼女のトラウマ体験を明かした。
ベティは女優になりたかったらしく、「彼女はハーバート・バーゴフの演劇学校で学んだり、オフ・ブロードウェイに出演していたこともある。ただ、それを職業にできるとは思わなかった。これが、芸能界から離れる理由になった。でも彼女がモデルを辞めた後も、あらゆるマガジンで使用され、多くの人はしばらくの間、彼女がまだモデルをしていると思っていたようだ」と述べた。
映画は、ベティの全盛期の魅力だけでなく、芸能界を離れてからの苦悩にも触れ、興味深い作品に仕上がっている。(取材・文・細木信宏/Nobuhiro Hosoki)