松たか子、山田洋次監督が現場でじだんだ踏んでいたことを明かす
女優の松たか子が28日、丸の内ピカデリーで行われた、山田洋次監督最新作『小さいおうち』の完成披露試写会に出席し、「山田監督の秘密」について語った。この日はほかに、黒木華、吉岡秀隆、木村文乃、妻夫木聡、倍賞千恵子らキャスト陣も参加した。
第143回直木賞を受賞した中島京子の同名小説を映画化した本作は、山田洋次監督にとって82本目の作品。満員の観客を前に「今日は初めての試写会。昨日から僕はなんだか不安でね。いい年して、心配で夜眠れなかったりしました」と切り出した山田監督は「ただし、ここにいらっしゃる俳優をはじめ、大勢のスタッフが心を込めて作ったことは間違いない。その思いが伝わればいいなと思っております」と緊張気味にあいさつ。
キャスト陣も「緊張した」「昨夜は眠れなかった」と固い表情を見せたが、妻夫木だけは「僕はぐっすり眠れました。こんなに素晴らしい作品を観てもらえるのは本当にうれしいです」と笑顔。さらに山田監督の前作『東京家族』(2012)の撮影を振り返ると「次もお願いしますと監督から直々に言われたのがうれしくて。思わず、今撮影しているのにもう次も来たぞ! と親に電話してしまいました」と感激した様子で語っていた。
一方の松は、2004年の『隠し剣 鬼の爪』以来、9年ぶりの山田組参加。撮影を振り返ると「目撃したわけではないが、(黒木)華ちゃんと向かい合って話していると、どんどんと山田監督がじだんだを踏む音が聞こえてきた」と撮影現場の様子を証言。
さらに「じだんだを踏むというのは、人にあたるのではなくて、自分が夢中になって、歯がゆいと思えるようなことへの熱さから出るのだと思う」と笑って見せた松は「本当はその姿を見たかったのですが、これからはその音が耳の奥から消えないように、(心の中に)埋め込んでおこうと思います」とコメント。そこで山田監督とは50年以上の付き合いになる倍賞が「山田監督の秘密は知っているけど、秘密だから言わないわ」とちゃめっ気たっぷりに付け加えると、会場は笑いに包まれた。(取材・文:壬生智裕)
映画『小さいおうち』は2014年1月25日より全国公開