世界的バレエダンサー首藤康之、創作活動に必要なものとは?
トップバレエダンサー首藤康之のドキュメンタリー映画『今日と明日の間で』のDVD発売記念イベントが11月30日、代官山 蔦屋書店で行われ、出席した首藤が表現者としての考えを語った。
同作品は、日本を代表するバレエダンサーとして世界で活躍する首藤の姿を1年以上にわたって追ったドキュメンタリー。本作で初披露したソロダンス「Between Today and Tomorrow」のテーマ音楽を、椎名林檎が担当したことでも話題を呼んでいる。
もともと故・森繁久彌さん主演のミュージカル「屋根の上のバイオリン弾き」を観て舞台に魅了されたという首藤は、舞台に上がるためにバレエの世界を志し、15歳で東京バレエ団に入団。2004年に退団し、現在まで10年近いフリーランス時期を経ての映画製作について「30年近く踊ってきて、そろそろ準備ができたというか。40歳近くになってもしかしたら(映画も)良いのじゃないかなって何か感じるものがあった」ときっかけを明かした。
世界的ダンサーである首藤のトークとあって、会場には女性を中心に数多くのファンが来場。その中の一人から「自分の中で抱えているものを形にするときに一番必要なものは?」と尋ねられた首藤は、「すぐに何かが見えることはないと思うんです」と前置きしつつ「辛抱強さ、正直、謙虚、規則正しく生きること……」と必要なものを次々に列挙。さらに「規則を作る。それを守る。常に自分にムチを打つ……」と自らの経験に照らし合わせて語った。
またバレエを学ぶ子どもたちへの指導も行っている首藤。「バレエの基礎を徹底的に教えるのはマストなこと」としながらも、厳しい世界ゆえに道を諦める子が多いことに触れ「そうなったときにバレエを通して学んだことが残ってくれれば良いなって。大きくなったときに、一人の人間としてダンスをやっていた時間はすてきな時間だった。あの時間があったから、今の自分があると思ってくれたら良いなって。愛情を持って教えています」と満足そうな表情。最後には「こうやって話す機会はあまりないのですけど、話すことでいろんな発見があって、良い時間を過ごさせていただきました」と観客に一礼すると温かい拍手が起こった。(取材・文:県田勢)
映画『今日と明日の間で』DVDは発売中 税込み価格 4,700円