『まどか☆マギカ』新房昭之総監督、意外な心境も…制作時を振り返る
深夜枠で放送された人気テレビアニメーションの新作映画『劇場版 魔法少女まどか☆マギカ [新編]叛逆の物語』の新房昭之総監督が制作時を振り返り、当時の心境を明かした。2011年のテレビシリーズ放送時から大きな話題となり、今回の劇場版も興行収入15億円を突破する大ヒットとなっているが、意外にも新房総監督の胸の内にあったのは「怖い」という思いだったという。
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「魔法使いサリー」や「魔女っ子メグちゃん」といった魔法少女ものとは違う方向性を模索し、“かわいい”キャラクターによるシリアスで硬派、さらにはSF要素も取り入れた「魔法少女まどか☆マギカ」の企画をスタートさせた新房総監督。2011年のテレビシリーズ放送時を振り返ると「3話でメインキャラクターの一人が死ぬという展開は、こっちも怖かったですね。どういった反応があるのか予想がつきませんでしたから」と漏らした。
今回の完全新作の劇場版を「良くも悪くも、人気作のPART2」と位置づけると「『続きを作らなきゃよかったね』と思われないように、というのが一番強かったですね。だから、今回の終盤の展開は自分でも怖かったんです。この作品を観た後は、前作のラストをもう純粋な気持ちでは観られなくなるかもしれない。それは怖かったです」という。「でもあの展開がなければ、お話として成立しないんです。それは最初からわかっていました。あそこがなければ、続きをやる意味がなくなっていました」と相反する気持ちがあったと明かす。
そんな新房総監督が「楽しかった」と挙げたのは、物語の前半、メインキャラクター5人の日常生活を描いたパートだ。「みんなで戦ったり、話をしたり、お茶飲んだり、学校に行ったり……そういうのはテレビシリーズではやりたくてもできなかったので、今回はぜひ描きたかったですね」と新房総監督。その部分はまた、新房総監督なりのサービス精神の表れでもある。
「テレビが終わった後も観た人がいろいろな形で膨らませてくれたから、今のキャラクターがあるんです。だからみんな、新作ではあの5人のキャラクターの活躍を見たかったと思うんですよね。この作品には、みんながこういうのを見たかったんだ! というところを自然に入れてあるつもりです」と明かした新房監督は、15億円を超えるヒットにも「これがシリーズ1本目の作品だったら、ここまで当たらなかったでしょう」とポツリ。改めて本作が、ファンあっての作品であることを実感している様子だった。(編集部・福田麗)
映画『劇場版 魔法少女まどか☆マギカ [新編]叛逆の物語』は公開中