なぜ日本のアニメが注目されるのか?荒牧伸志監督が見た世界のアニメ事情
松本零士の人気コミックを映画化し、世界70か国以上で配給が決定するなど海外でも話題を呼んだCGアニメ『キャプテンハーロック』の荒牧伸志監督が、SFアニメの流れや日本のアニメが海外で高い評価を受けている理由を語った。
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ベネチア国際映画祭では、10分間のスタンディングオベーションを受けた荒牧監督。日本のアニメが支持されている要因を「過激な描写も含めた、幅の広さと引き出しの多さ」だという。ネットを通じて情報が広がる中、その期待は世代を超えて高まっているようだ。「いまや、どの国でも話題になっているのが『進撃の巨人』。若者から年配の人まで、誰もが興味を示しています」
『キャプテンハーロック』を観たジェームズ・キャメロンが感激したのは「イメージの豊かさ」。「驚くような作品が次々に出てくるから、日本のアニメが好きだと言っていました。それだけ(制作における)自由度が高いという証し」だという。そんな作品群の背景には、制作体制も関係しているようだ。「限られた状況の中で、作り手はポイントをより明確に出そうとする。一点突破なところも個性派作品を生む土壌になっています」と現場を振り返る。
日本のSFアニメの特徴の一つが、主人公が少年であること。海外作品のヒーローは圧倒的に大人が多い。「例えば『アベンジャーズ』や『バットマン』では、ヒーローは“子どもが憧れる大人”として描かれている。一方、日本では『機動戦士ガンダム』や『新世紀エヴァンゲリオン』など、戦いに駆り出されるのは大抵、中学生くらいまでの子どもであるケースが多い」と指摘する。
日本のアニメで少年のヒーローが多い理由について「ロボットを操るのは君と同じ子どもなんだよ、というスポンサーであるおもちゃメーカーの意図もあるはず」とし、「そんなスタイルが、フォーマットとして定着したのでは」と考察。そんな流れの中、青年向けコミックを原作とする本作は、大人のヒーローが活躍する数少ないSFアニメ。そんなヒーロー像も、海外で高い人気を誇っている理由なのだろう。(取材・文:神武団四郎)
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