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原発事故で生殖器が腫れた馬を「他人事じゃない」 海外で絶賛のドキュメンタリー映画が公開

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松林要樹監督
松林要樹監督

 第10回ドバイ国際映画祭でアジアアフリカ・ドキュメンタリー部門の最優秀作品賞を受賞した松林要樹監督の『祭の馬』が14日、渋谷のシアター・イメージフォーラムで初日を迎え、松林監督が受賞の喜びを語った。

映画『祭の馬』場面写真

 本作は、福島第一原発事故の被害を受けた福島県にカメラを向けたドキュメンタリー映画『相馬看花(そうまかんか) -第一部 奪われた土地の記憶-』の続編的作品。原発事故の際に半径20キロ圏内にいた生殖器が腫れた馬を通じて、福島の現状を伝えている。この日の舞台あいさつは、松林監督に向けて会場から「おめでとう!」と祝福する声が飛び出すなど、アットホームな雰囲気の中で行われた。

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 海外の映画祭では「なぜ、股間が腫れた馬を取り上げたのか?」という質問が多く寄せられたと切り出した松林監督は「放射能が生殖機能に与える因果関係は証明できていないんですが、生殖器が腫れた姿を見て、男として他人事じゃない、こいつは友達だと思ったのがきっかけ」と明かす。

 「人間が発達した社会を作っていく過程で、馬が自分たちの生活の犠牲になってしまっているなと感じた」という松林監督。「この映画のモチーフは何ですかとよく聞かれるんですが、僕は人間が唯一火が使えると思い上がった結果、原発を作ったんだと思うんです。でも、原発と人間と馬が共存できるかというと、共存できない、ということを強く残したかった」とメッセージを説いた。

 自身のプロダクションを「三畳間フィルム」と名付けるなど、東京の三畳一間を拠点にして、ドキュメンタリー映画を制作する松林監督。観客から「有名な監督になって、大きな部屋に住むようになっても初志を忘れずに頑張ってください」と激励のコメントが飛び出すと、「家の前の駐車場が2万5,000円で。うちの家賃よりも駐車場の方が高いんです」とおどけてみせる一幕も。「長期間東京を離れることが多いので、やはり何かを犠牲にしないと取材はできない。そうすると家賃を節約するのが手っ取り早い。ただ、僕は酒飲みなので、酒の量は減らせないんですけどね」と笑いながら付け加えていた。(取材・文:壬生智裕)

映画『祭の馬』は渋谷のシアター・イメージフォーラムで公開中

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