小山薫堂と安西水丸がフランス映画を買い付け! 良質な映画の基準とは?
放送作家の小山薫堂とイラストレーターの安西水丸が20日、渋谷のユーロスペースで行われたフランス映画『シャンボンの背中』の舞台あいさつに登壇し、二人がカンヌ国際映画祭で直接買い付けを行ったという同作について語った。
この上映は、デジタル化などによる設備投資に苦しむ地方の単館系劇場を応援することを目的に、WOWOWが日本未公開の作品を全国で無料上映するイベント「旅するW座」の最終章として行われたもの。10月から山梨のCSCテアトル石和を皮切りに全国の劇場で無料上映されてきた本企画の最後の上映館として選ばれたのが渋谷のユーロスペースだった。
この日上映された『シャンボンの背中』は、現在、新作『母の身終い』が日本公開中であるステファヌ・ブリゼ監督作。左官のジャンは、幼い息子の担任である女性教師シャンボンと出会い、お互いに意識し合う中、ついに禁じられた一線を越えそうになるが……という物語。フランス映画らしい風格漂う大人向けの繊細なラブストーリーだ。
「この映画は二人で買い付けを行った」と切り出した小山、実は候補になった作品は2本あって迷ったという。「でも取り憑(つ)かれたようにこの作品を選んだ。ただ、周りのスタッフはもう一本の方がいいと推していたんです。女性陣にはなぜこれを選ぶのかわからないとまで言われた」と笑いながらも、「これは(本上映会が行われたような)金曜日の夜に観る映画。金曜日って、テレビドラマでいうと『金曜日の妻たちへ』みたいな大人のラブストーリーがいいんですよ。だからここに来た人はラッキーですよ」と解説。安西も「本当によくできた映画で、金曜の夜に観るのにふさわしい」と同意するが、ことあるごとに「でももう一本の方も良かったよね」と名残惜しそうなコメントを発し、会場を笑わせていた。(取材・文:壬生智裕)
映画『シャンボンの背中』は12月29日午後9時より、WOWOWシネマ「W座からの招待状」にて放送