外交官からグラミー賞ノミニー!阿曽沼和彦が受賞へ意気込み
第56回グラミー賞で日本人として喜多郎と並びノミネートを受けた異色のアーティスト・阿曽沼和彦が14日、WOWOW本社で囲み会見を行い、受賞へ向けての意気込みを語った。
阿曽沼は外務省の外交官という安定した仕事に就きながら、その職を投げ打ち音楽プロデューサーへ転身し、現在世界的な規模で活躍している異色の経歴を持つアーティスト。今回はザ・ローリング・ストーンズもリズム隊に欲しがったという逸話を持つ「スライ&ロビー」と共にアルバム(「Reggae Connection」)の共同プロデューサーを務め、最優秀レゲエ・アルバム部門でグラミー受賞が期待されている。
自身の生き方について「日本人からはうらやましがられて、ジャマイカ人からはバカじゃないかって言われます」と笑う阿曽沼は、赴任したジャマイカでスライ&ロビーと出会ったことで音楽制作術を身に付け、それがきっかけとなり「のたれ死にしてもいい覚悟で」外務省を辞し、現在に至っている。
外交官時代はジャマイカの他にもケニア、マイアミといった地を渡り歩いており、ケニアでミック・ジャガーと対面して空港でビールとコーラをおごった、音楽活動をしていた元読売巨人軍のウォーレン・クロマティとマイアミで交流があった、雅子妃の父である小和田恆氏の下で働いていたなど、仰天エピソードは事欠かない。
3年前の「第53回グラミー賞」でもノミネートされた阿曽沼だが、この時は惜しくも受賞ならず。今回は元ちとせら日本人アーティストが参加し、震災復興への思いを込めた曲「PRAY」も収録したアルバムで、悲願成就を目指す。
経済的困窮や2002年には心臓発作で倒れて生死の境をさまようなど窮地も少なくない阿曽沼だが、その夢がしぼんでしまうことはない。今もボブ・ディラン、ジミー・ペイジ、ジェフ・ベックら大物アーティスト参加のレゲエ・アルバム制作を構想しており、「それを集大成にして、あとグラミーが獲れたら日本に帰って警備員をしてもいい」と冗談を交え胸の内を語る。
「ミュージシャンになるなんて思ってもいなかった」と数奇な人生を送ってきた阿曽沼の夢は、まず27日のグラミー賞発表で1つの答えが出される。(取材・文:長谷川亮)
「生中継!第56回グラミー賞授賞式」は27日午前 9:00よりWOWOWで放送