米パラマウント、フィルムでの配給を終了へ 大手映画スタジオとして初の決断
米映画会社のパラマウント ピクチャーズが、アメリカ国内でのフィルムでの映画配給を終了し、今後はデジタルデータに完全移行することが明らかになった。大手映画スタジオとしては初めての試みとなる。
最初の完全デジタル配給作品になったという『ウルフ・オブ・ウォールストリート』フォトギャラリー
latimes.comによると、パラマウントは昨年12月18日に全米公開された『アンカーマン2: ザ・レジェンド・コンテニューズ(原題) / Anchorman 2: The Legend Continues』を最後に、35ミリフィルムでの配給を終了したと劇場主に通達。同25日に全米公開されたレオナルド・ディカプリオ主演の『ウルフ・オブ・ウォールストリート』は撮影にフィルムが使われていたものの、配給は完全にデジタルで行われたという。
UCLAフィルム・アンド・テレビジョン・アーカイブのディレクターを務めるジャン・クリストファー・ホラック氏は、この決断について「約120年にわたって、35ミリフィルムは劇場上映用のフォーマットとして用いられていました。今、わたしたちはその終えんを目にしています。デジタル化が進んだことには驚きませんが、これほど早い時期に移行するとは思いませんでした」とコメントしている。
他の大手スタジオでは、20世紀フォックスが2011年に今後1、2年の内にフィルム配給を終了することを劇場主に通達していたほか、ディズニーも同様の趣旨の通達文を送付していたといい、パラマウントに倣う動きが出てくると予想されている。なお、フィルムでの配給の終了について、パラマウントは現在のところ公式声明を出していない。
ナショナル・アソシエーション・オブ・シアター・オーナーズの調べによると、アメリカ国内の映画館ではすでに全体の92パーセントにあたる4万45スクリーンがデジタル上映設備を導入。また、プリント代についても、デジタルデータのコピーには1本あたり100ドル(約1万円・1ドル100円計算)以下しかかからないのに対し、フィルムは1本あたり2,000ドル(約20万円)がかかるといわれている。(編集部・福田麗)