人気ドラマから『アベンジャーズ』への転身!『マイティ・ソー』に生かされたテレビドラマの手法
「アベンジャーズ」プロジェクト最新作となる映画『マイティ・ソー/ダーク・ワールド』のアラン・テイラー監督が、テレビから映画業界への転身について語った。「コミックのファンでは全然なかった」というテイラー監督は「アウトサイダーの視点から描くと、逆に良いこともある」と無理にファンに擦り寄ることはしなかったとのこと。そうした態度は、脚本にも反映されているという。
テイラー監督はテレビ出身で、ハリウッド大作のメガホンを取るのは本作が初めて。だが、テレビ時代には「ザ・ソプラノズ/哀愁のマフィア」「MAD MEN マッドメン」といったヒット作を次々に手掛け、2011年にスタートしたテレビドラマ「ゲーム・オブ・スローンズ」は壮大な世界観、そしてそこで展開される重厚なドラマが熱狂的なファンを生んだ。本作に続き、2015年に公開される『ターミネーター』のリブート作の監督にも抜てきされている。
第1作を監督したケネス・ブラナーからたすきを受け取った形になったテイラー監督は「つらかったよ。ケネスは優れた監督であると同時に、役者でもあるからね」と苦笑いしつつも、「でも奇妙に聞こえるかもしれないけど、この作品をやる上で、テレビはとても良い準備になった。ケネスが監督した第1作があり、言ってみれば、僕はずっと続いているテレビ番組の、ある回から関わるようになったようなものだったんだ。だから、そんなに違和感はなかったよ」と断言する。
中でも代表作「ゲーム・オブ・スローンズ」の経験は本作にも生きているという。「『ゲーム・オブ・スローンズ』は歴史物でスケールが大きいだけに、キャラクター同士の人間関係をきっちり描くことを忘れてはいけなかった。それは、この映画でも同じだったんだ」とテイラー監督。CG合成を前提としたスタジオ撮影だけでなく、ロケを敢行したのも「ゲーム・オブ・スローンズ」でリアリティーの大事さを痛感したからだ。
他にももう一つ、「ゲーム・オブ・スローンズ」時代の経験が本作には反映されている。「詳しくは言えないけど、今回は大きなことが起きるよ。それも『ゲーム・オブ・スローンズ』で学んだことなんだけどね」と明かすと、それはファンからの反発を覚悟した上での決断であるとキッパリ。「今回は、このソーの世界をもう少し現実的にしたかった。それで、もっとダークで濃い感じにしつつも、コメディーのトーンも保ちたかったんだ。そのバランスは難しかったけれど、うまくいったのではないかと僕は思っている」と仕上がりには絶対の自信を持っている様子だった。(編集部・福田麗)
映画『マイティ・ソー/ダーク・ワールド』は2月1日より全国公開