クリス・ヘムズワースが筋肉を落としてまで欲しかった役とは?
映画『ラッシュ/プライドと友情』でF1レーサーのジェームス・ハントを演じたクリス・ヘムズワース、そのライバルであるニキ・ラウダ役のダニエル・ブリュール、そしてロン・ハワード監督が作品や役柄について語った。本作は、あまりにもドラマチックな展開で伝説となった1976年のF1レースとその裏側にあったヒューマンドラマを描いた作品だ。
本作でまず驚かされるのが、クリスとダニエルがそれぞれのレーサーにそっくりなこと。ダニエルは「何だって? 僕がネズミ(ニキのあだ名)みたいだってこと!? 脚本も『ジェームス:看護師とキス、ジェームス:飛行機でメイクラブ、ニキ:タイヤをチェック』みたいな感じだし」と冗談めかしてぼやくも、メイクアップアーティストの技をたたえることも忘れない。メイクはダニエルの顔をニキに似せただけでなく、息をのむリアルさで事故後の大やけどを負った顔も再現しているからだ。
もちろんメイクばかりではなく、話すときのアクセントまでニキそっくりにしたダニエルの演技力も相当なもの。さまざまな映画賞を獲得してきたダニエルは、『イングロリアス・バスターズ』『ザ・フィフス・エステート(原題) / The Fifth Estate』など話題作への出演が相次いでいる実力派だ。
一方、『マイティ・ソー』シリーズなど筋骨隆々のイメージが強いクリスは、自主的に筋肉を落として本作のオーディションに臨んでいる。体一つがピッチリ納まるF1カーに乗り込む必要があったからだ。そのかいあって見事に役をゲット。「いろんな部分でピンとくる役だったから、ぜひ演じたいと思った」というクリスは、演じていくうちにジェームスがどんどん好きになっていったと明かした。
『ビューティフル・マインド』に『フロスト×ニクソン』と事実を素晴らしい映画に仕上げてきたハワード監督が、「大人の知的な楽しみとなり得るキャラクターに大画面にふさわしい題材というめったにないコンビネーションで、観客に映画館まで足を運んでもらえる新しいもの」と自信をのぞかせる本作。その言葉通り、迫力あるカーアクションが一流のエンターテインメントとなっている一方で、対極のような2人のレーサーの生き方に思いをはせずにはいられない。(取材・文:山口ゆかり / Yukari Yamaguchi)
映画『ラッシュ/プライドと友情』は2月7日よりTOHOシネマズ日劇ほかにて全国公開