実写版『魔女宅』、ジブリ版と比較されるプレッシャーがキキ&とんぼを演じた二人を大きく成長させた!
角野栄子の名作児童文学を初めて実写映画化した『魔女の宅急便』で、主役のキキを演じた小芝風花と、とんぼを演じた広田亮平、そしてファンタジー映画に初挑戦した清水崇監督が、有名作品と比較されるプレッシャーと闘った今の思いを打ち明けた。
「魔女の宅急便」といえば、1989年にスタジオジブリがアニメーション映画化し大ヒットを記録したため、原作よりもアニメのイメージが強い世代も多い。そんな中であえて実写版に挑んだ清水監督は、ジブリ版にとらわれないオリジナルの世界観と、実写版ならではの生身の感情を表現するために、全国でキキ役を選ぶオーディションを行った。
その狙いを清水監督は、「13歳の役で、アニメのイメージを持たれているキキの役となると、誰がやってもいろんなことが付きまとうし、責任も伴うし、ハードルも高い。だからこそ、素人でも新人でも『キキかもしれない』と思える子と出会えるのを楽しみにしていた」と説明。キキ選びの最大のポイントを「キキを愛してもらえるかどうかは、キキとして僕が愛せる子かどうかだった」と明かし、小芝が演じたキキについて「僕はもちろん、撮影中はスタッフにも愛してもらっていたので、お客さんにも『かわいい』『すてき』と受け止めてもらえれば」と期待をにじませた。
その一方で、キキ役に抜てきされた小芝は、喜びもつかの間、大きなプレッシャーと闘うことになった。その日々を「絶対に合格しないと思っていたので、キキに決まったときはうれしくて号泣しました。でも、原作にもアニメにもファンがいて、それぞれイメージや思い入れがあるので、『受け入れてもらえるのかな?』『監督はなんでわたしを?』という気持ちでいっぱいになりました」と語る。それはとんぼ役の広田も同様で、「やっぱりジブリ版のイメージがあるので、『(衣装が)ボーダーじゃないの?』とか、みんなに言われました」と打ち明けた。
それでも、自分を信じてくれる家族や監督を支えに、キキととんぼを演じ切った自信は二人を大きく成長させたようで、「この映画では自分なりのとんぼを演じられたと思うので、キキの前では、弟や妹たちに対して威厳のある兄でいるところも見てもらいたいです」と広田が胸を張ると、小芝も「今は早くいろんな人に観てもらいたいです」とうなずいた。本作には、そんな二人の激闘と成長が焼き付けられている。今だからこそ演じられた生身のキキととんぼを見守ってほしい。(取材・文:小島弥央)
映画『魔女の宅急便』は3月1日より全国公開