『それでも夜は明ける』の脚本家と監督 授賞式ではお互いに感謝しないほどの不仲
アカデミー賞作品賞を受賞した映画『それでも夜は明ける』のスティーヴ・マックィーン監督と脚本家のジョン・リドリーが口も利かないほど仲が悪く、関係者は賞レースへの影響を懸念していたという。
The Wrapによると事の発端は、最終的な脚本を形作る上でアイデアを出したマックィーン監督が、共同脚本家として名前を連ねたいと申し出たところ、ジョンが断ったことだったらしい。マックィーン監督は激怒し、配給会社に直訴したがFoxサーチライトもジョンを単独で脚本家とすることに同意したとのこと。
その後の監督のジョンに対する態度は無礼とも言えるほどひどく、BAFTAを含む授賞式では同じテーブルに座ることも拒否したらしい。また、ジョンが席を外したときには彼の妻が泣き出すほどのひどい言葉を浴びせたとの目撃談もある。
BAFTAで作品賞を受賞したマックィーン監督は受賞スピーチでジョンに感謝を述べることはなく、ゴールデン・グローブ賞では、壇上でほかのプロデューサーに耳打ちされるまでジョンには感謝しなかった。
二人の不仲がメディアで大きく取り上げられれば、アカデミー賞にも大きな影響が出ると関係者は心配し、なんとか隠し続けていたようだ。授賞式当日になっても二人の間には大きな溝があり、ジョンが脚色賞を受賞した際のマックィーン監督はムスっとした顔で拍手を送り、ジョンも受賞スピーチでは監督に感謝をしなかった。
ただ、今では監督へのお礼を含めなかったことを後悔しているとジョンはいう。「後悔はしているよ。でも、その24時間前スピリット・アワードではスティーヴと一緒に仕事をした素晴らしさをさんざん語ったんだ。彼は僕の人生を変えてくれた人だよ。オスカーのスピーチは30秒しかなく、あそこに立つと会場から酸素が吸い出されたような気分になるんだ」と語り、嫌味でマックィーン監督の名前を述べなかったのではなく、見落としだったと言っている。(澤田理沙)