公民権運動家セザール・チャベスの戦いを『天国の口、終わりの楽園。』ディエゴ・ルナが映画化!
映画『天国の口、終わりの楽園。』、『ルドandクルシ』などに出演している俳優ディエゴ・ルナが、監督に挑戦した映画『セザール・チャベス(原題) / Cesar Chavez』について語った。
本作は、メキシコ系アメリカ人の公民権運動家セザール・チャベス(マイケル・ペーニャ)が過酷な環境で働く農場労働者の権利を守るため、仲間と統一農場労働者組織委員会を組み、政府や農場主たちと戦っていくというドラマ。アメリカ・フェレーラ、ロザリオ・ドーソン、ジョン・マルコヴィッチらが出演している。
ディエゴは「これまでセザール・チャベスの伝記映画がなかったことに驚いたよ。この映画の企画を多くのハリウッドのプロデューサーに見せたとき、資金提供はできないが、製作したら配給はできるかもしれないとか、主演がハビエル・バルデム、アントニオ・バンデラスなら製作資金が出せるとか言われたんだ。結局、製作資金はアメリカで捻出できずに、メキシコで集め、その後アメリカに戻りParticipant MediaとPantelion Filmsという独立系映画にふさわしいパートナーが参加して製作ができた」と明かした。企画から製作まで4年半も費やしたそうだ。
また、「マイケルはセザール役のために、かなりの努力をしてくれた。彼は、実際にはセザールとは全く異なる人物だよ。セザールは、突然マーティン・ルーサー・キング・Jrのように素晴らしい演説をするようになったわけではないんだ。謙虚で、臆病なところもあり、さまざまな社会の変化を通してリーダーになった。セザールは素晴らしい聞き手だが、マイケルも同様の要素を持っているんだ」と語る通り、その繊細な感情をマイケルは見事に演じきっている。
セザールの幼少・少年時代が描かれていないのは「実は最初に渡された脚本は、セザールの誕生から亡くなる日までが書かれていた。フィクションならそれでも良いが、実在の人物を描くにはアンフェアだと思ったんだ。最終的に、セザールのデモ行進などのボイコットを通して農場労働者の権利を主張した時期だけを選択し、なぜボイコットが起き、どのような経緯で農場労働者たちに影響を及ぼしたかを描くことが、正しいメッセージになると思った」と明かした。
映画は、農場労働者への適切な賃金と手当のために戦った男セザール・チャベスの価値観や生きざまが、人々に感動をもたらす内容に仕上がっている。(取材・文・細木信宏/Nobuhiro Hosoki)