カミングアウトしたベン・ウィショー、新作でゲイ役!「繊細さと強さが要求される役」
現地時間3月20日、第28回ロンドン・レズビアン&ゲイ映画祭が、新名称BFIフレア・ロンドンLGBT映画祭として開幕した。BFIは英国映画協会と訳されるブリティッシュ・フィルム・インスティテュート、LGBTはレズビアン、ゲイ、バイセクシュアル、トランスジェンダーの略。
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新名称となった今回のオープニングは、ホン・カウ監督の映画『リルティング(原題) / Lilting』が飾った。主人公リチャード(ベン・ウィショー)が、老人ホームにいる、恋人カイ(アンドリュー・レオン)の中国系カンボジア人の母(チェン・ペイペイ)を訪ねるところから始まり、徐々に3人の現在を浮かび上がらせるハートフルな人間ドラマだ。
昨年、オーストラリアの作曲家マーク・ブラッドショウとシビル・パートナーシップ制度で結ばれたことを明かしたベンには、晴れてのゲイ役となる。カウ監督は「俳優陣が素晴らしかった。中でも、悲しみをたたえたリチャードは繊細さと強さが要求される役だった。最初からベンが頭にあったよ」とベンの演技力に助けられたと語った。
英語を解さないカイの母がホームになじめるように心を砕くリチャード。そのリチャードをカイの恋人とは知らず、親友と思っているカイの母。ロンドンを舞台に、文化、世代間のギャップも描かれる本作は、カウ監督の長編デビュー作。カンボジア出身でロンドンをベースに活動するカウ監督ならではの作品となっている。
交じり合うように描かれた追憶と現在が、次第に分かれ、悲しい事実にたどり着く脚本はカウ監督自身によるオリジナル。奥行きを感じさせる作品だが実は低予算で、17日間で撮り上げたことも明かされた。イギリスでは6月20日から公開予定。(取材・文:山口ゆかり / Yukari Yamaguchi)