鬼才ホドロフスキー監督、映画作りは金のためじゃない!創作意欲は衰えず!
映画『エル・トポ』などで知られる鬼才アレハンドロ・ホドロフスキー監督(85)が携わった映画『ホドロフスキーのDUNE』『リアリティのダンス』が日本で連続公開されることを記念して、およそ25年ぶりにホドロフスキー監督が来日し、24日にスペースFS汐留で記者会見を行った。
会場に集まった報道陣に「わたしの初来日は(「パントマイムの神様」と呼ばれた)マルセル・マルソーと一緒でした」と切り出したホドロフスキー監督は、「日本を知ることには文化的な感動があり、そこからわたしの芸術観が変わっていきました。25年前には『サンタ・サングレ/聖なる血』のPRのために再び来日し、さらに多くの日本文化を吸収しました」とコメント。『ホーリー・マウンテン』のオープニングは茶道から、そして『サンタ・サングレ/聖なる血』に登場するストリップをする女性はポルノ雑誌からインスピレーションを受けたことを明かすなど、日本文化が自身の作品に与えた深い影響について語った。
『リアリティのダンス』は、日本未公開の『ザ・レインボー・シーフ(原題) / The Rainbow Thief』から23年を経た監督作。しかし彼自身は「わたしは音楽、詩、絵画、演劇、小説、そして日本でも出版された『L'INCAL アンカル』『メタ・バロンの一族』といったコミックの原作も手掛けてきた。この23年間、創造することをやめていたわけではない」とキッパリ。さらに「わたしはマクドナルドのように、毎年ビッグマックを作っているわけではない。映画を作るのは、金のためではなくアートのため。映画を作るのは何かを言うべき時。だからいつも映画的に何か言うべきことが降りてくるのを待っていたのです」と付け加える。
自伝的要素の強い『リアリティのダンス』に続く監督作は、自ら原作を担当したコミックの映画化になるという。「人生を基本にした個人的な映画作りは、心の治療のようなものでした。ですから次回作は外に向けた物語を語ろうと思います。社会の底辺にいる、ほとんどゴミ箱にいるような人間を描く。あと23年かかってもやりたい」と力強く宣言。85歳とは思えないパワフルな姿に、会場は大いに沸いた。(取材・文:壬生智裕)
ドキュメンタリー映画『ホドロフスキーのDUNE』は6月14日より全国公開
監督作『リアリティのダンス』は7月12日より新宿シネマカリテほか全国順次公開