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耶雲哉治監督、元ももクロ早見あかりの魅力の引き出し方について語る -ウディネ・ファーイースト映画祭

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上映後に映画祭プレジデントのサブリナ・バラチェッティと握手する耶雲哉治監督
上映後に映画祭プレジデントのサブリナ・バラチェッティと握手する耶雲哉治監督

 元ももいろクローバー早見あかり主演の映画『百瀬、こっちを向いて。』が、イタリアで開催された第16回ウディネ・ファーイースト映画祭でワールドプレミア上映された。長編デビュー作で初国際映画祭参加と初めて尽くしだった耶雲哉治監督は、当初緊張気味だったが、「上映後にサインや握手を求められ、温かい感想も言っていただいてうれしいですね」と好感触に胸をなで下ろしていた。

映画『百瀬、こっちを向いて。』写真ギャラリー

 同作品は中田永一の同名小説が原作で、男女4人の一方通行の恋愛を描いた初恋物語。同映画祭で日本作品のコンサルタントを務めた映画評論家のマーク・シリングは「欧州人が興味を引かれる“制服モノ”というのもあるが、ありがちなハッピーエンドではなく、スレ違いの恋愛劇が秀逸だった」と本作を選んだ理由を語る。

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 耶雲監督はこれまで、「NO MORE 映画泥棒」などのCMや東方神起のミュージックビデオを手掛けてきた。今作では自分の好きだった1980年代のアイドル映画の雰囲気を原作に感じて監督に名乗りを上げたという。耶雲監督は「出演者は皆、演技経験のない新人。彼らの魅力をいかに引き出すか? CMで培ったノウハウを生かせるのではないかと思った」と話す。

 出演者は早見を筆頭に竹内太郎や、元プロ野球選手・工藤公康を父に持つ工藤阿須加など新鋭ばかり。撮影前の1か月間でワークショップを実施し、脚本上には書かれていない、初恋の衝動と彼らを襲う現実の間で揺れる感情を自分たちで考えるように徹底指導したという。また起用した早見には、あえて難しいセリフや動きに必ず一つ注文を付けるというカセを与えることで“一生懸命さ”が魅力的に見えるように導いたという。

 撮影が行われたのは1年前の昨年5月。そのような耶雲監督の策略が、もう二度と撮ることのできない当時の早見たちの輝きをスクリーンに刻んだ。それが年齢層の高かったウディネの観客たちの青春への郷愁を駆り立てたようだ。耶雲監督は「今度はアジアの観客がどう観てくれるのか。ぜひ感想を聞いてみたいですね」とさらなる野望を語っていた。(取材・文:中山治美)

映画『百瀬、こっちを向いて。』は5月10日より新宿ピカデリーほか全国公開

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