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4人の父親と暮らす高校生が登場!近年、多様化する家族のかたち

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それぞれ異なる個性、得意分野を持つ父親たちのチームワークが痛快!
それぞれ異なる個性、得意分野を持つ父親たちのチームワークが痛快! - (C) 2014吉本興業

 いつの時代も万国に共通する映画の鉄板ネタといえば「家族」だが、近年そのあり方には大きな変化が見られる。日本でも3組に1組の夫婦が離婚するといわれ、生涯未婚率が増え続ける中、映画に登場する家族の形も一筋縄ではいかなくなっている。といっても警鐘は半世紀以上も前から鳴らされていた。

映画『オー!ファーザー』フォトギャラリー

 例えば家族ドラマの名手である山田洋次監督が選んだ日本の名作100本の「家族編」には、『東京物語』(1953)、『家族ゲーム』(1983)、『お引越し』(1993)、『トウキョウソナタ』(2008)といったタイトルが並ぶ。これらはどれも血のつながった親子の典型的な理想の家族像が、ゆるやかに壊れていく映画なのである。

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 その先にある現代においては、もはや『クレイマー、クレイマー』(1979)のように別れた両親が歩み寄る結末では、実際にある多様な家族形態をカバーしきれない。だから是枝裕和監督は『そして父になる』(2013)で、“血縁”と“過ごした時間”のどちらをもって家族とするのかを問い掛けた。

 また、『まほろ駅前多田便利軒』(2011)には同性のパートナーとの間に子供を授かるために男性と結婚したレズビアンの女性が登場する。男性は精子のみを提供して離婚するのだが、今秋公開の続編『まほろ駅前狂騒曲』では成長した娘を男手二つ(!)で預かるようだから、より進化した家族関係が見られそうだ。

 そんな流れを象徴するのが『オー!ファーザー』である。原作者の伊坂幸太郎に一度は映像化を断られるものの、東日本大震災を機に解禁となった本作は、母親に4股をかけられていた男たち4人が全員父親(候補)として同居するという、特殊な環境で育った高校生・由紀夫(岡田将生)が主人公だ。複雑な家庭にもかかわらずその生活は愛とスリルに満ちている。

 同作の劇中で由紀夫が自問しているように、幸せが4倍になれば、失う悲しみも同じだけ増えるかもしれない。だがそれさえも掛け替えのない宝物になる。やむを得ない事情で血のつながらない者同士が家族になろうとすること、それは悲劇ではなく希望なのである。(那須千里)

映画『オー!ファーザー』は5月24日より角川シネマ新宿、テアトル梅田ほかにて全国公開

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