蟹江敬三さんお別れの会に700人参列 渡辺謙が涙の弔辞
3月30日に胃がんのために69歳で逝去した俳優・蟹江敬三さんの「お別れの会」が13日、青山葬儀所で行われた。渡辺謙ら俳優仲間など約700人が参列し、蟹江さんと最後のお別れをした。
通夜および葬儀告別式はすでに済まされており、今回は改めて「お別れの会」を実施。「シンプルに」ということを念頭に置いて作られたという祭壇には、コチョウラン、白いバラ、カーネーション、トルコキキョウ、カスミソウがちりばめられた。遺影は平成9年に広告写真家の白鳥真太郎氏が撮影したという写真が使用された。
この日、弔辞を読み上げたのは、俳優の渡辺謙。「蟹さん、驚いちゃった。具合が悪いなんて何も聞いていなかった」と切り出した渡辺は「蟹さんとご一緒した時間は長かったです。一緒に年2回、ドラマをやるようになると、お互いの近況や家族について話すようになって、親戚のような感じでいました」と述懐。
さらに渡辺は、涙声で鼻をすすりながら「蟹さんは現場でも、本当にいつも気になる存在でした。温かく、厳しく。本当にかわいがってもらいました。今でも『あまちゃん』のじいちゃんみたいに、ひょっこり顔を出してくれそうな気がしています。いいんだよ、いつでも。顔を出してくれたら。待っているから」と天国の蟹江さんに呼び掛けた。
また蟹江さんの息子で俳優の蟹江一平は病魔に侵されたときの父の姿を思い浮かべ、「家族も医者も、なすすべもなく父が悪くなるのを見守るしかありませんでした。それでも父は『悪いけど、おまえが仕事に行っても病気のことは黙っていてくれ、むしろヘラヘラしていろ。おまえはそれが持ち味だからな』と。だからヘラヘラしていました」。寡黙で我慢強かったという蟹江さんの人柄をうかがわせた。
この日は能年玲奈、前田敦子、市毛良枝、松下由樹、荒川良々、皆川猿時、渡辺えり、椎名桔平、国生さゆり、名取裕子、いしだあゆみ、渡辺いっけい、石橋蓮司、永島敏行、杉浦太陽、斉藤由貴、塩谷瞬、大泉洋、水谷豊、小沢真珠、香川照之、江口洋介、柄本明、草なぎ剛などが参列。献花の際には、詩人・中原中也の詩を蟹江さんが朗読したときの音声が会場内に流され、それぞれが蟹江さんにお別れの言葉を掛けていた。(取材・文:壬生智裕)