コリン・ファレル、満を持して臨んだ100年越しのラブストーリーを語る
ハリウッドでもバッド・ボーイ的なイメージが強く、タフな男を演じることが多かったコリン・ファレルは、実際に会うと、人懐っこくて、チャーミングな俳優だ。そんな彼が「僕の心が張り裂けるから、恋愛映画にはほとんど出られない(笑)。ここまでロマンチックなラブストーリーは初めてだ」と究極のラブストーリー『ニューヨーク 冬物語』に満を持して挑戦した理由を語った。
「アキヴァ(・ゴールズマン)とは10年以上の知り合いだから迷わなかったよ。脚本を読んだ瞬間に心を奪われたんだ」とコリンが明かす本作は、アメリカ現代文学でも最高傑作とうたわれるマーク・ヘルプリンのベストセラー小説の映画化作品にして、『ビューティフル・マインド』(2001)の脚本でオスカーを受賞したゴールズマンの初監督作。ラッセル・クロウやジェニファー・コネリーなど彼の作品で活躍した俳優陣が勢ぞろいしている。
製作・監督・脚本を務めたゴールズマンに対し、コリンは「とても明確な指示をしてくれた」と感謝の言葉を贈るとともに、「というのも、彼は人生で(妻の他界という)最大の苦痛と喪失を経験したんだ。だから、彼はこの脚本を書く必要があったし、それで癒やされたんだと思う」と分析した。
コリンがふんしたのは、100年前の世界から愛と運命を背負って若いまま生き続けているピーター。しかし2014年のピーターは記憶を失っていて、自分の使命を思い出せない。ある運命の女の子と奇跡的な出会いをするまでは……。その時、100年前に令嬢ベバリー(ジェシカ・ブラウン・フィンドレイ)と運命的な恋をした記憶がよみがえるのだ。彼女が不治の病ではかない一生を終えたことも。
この奇跡の愛を信じるピーターを演じる彼は、果たしてどれくらいロマンチックなのだろうか?「自分ではすごくロマンチックだと思っているよ。それに、ロマンスってどんな瞬間にも見付けられると思うからね。例えばすごく天気の良い日に、セントラル・パークで鳥がさえずり踊っていたら、それだけでロマンスを感じられる」。
さらに今回、内向的で深い演技を見せたことについては「表面的な役は演じたくなかったんだ。だって人間って複雑だからね。僕らの考えは、絶えず変化し続ける。ピーターは万華鏡のような人間だったと思う。すごく強くてたくましい、でも同時に繊細な心を持った男だった。だからさまざまな側面を探求するのは楽しかったよ」と振り返っていた。(取材・文:中村明美)
映画『ニューヨーク 冬物語』は5月16日より全国公開