大島渚監督『青春残酷物語』がカンヌで上映!現地の若者にも好評
第67回カンヌ国際映画祭
故・大島渚監督が手掛けた映画『青春残酷物語』のデジタル修復版が現地時間15日、第67回カンヌ国際映画祭でワールドプレミアを迎え、同映画祭クラシック部門のオープニングを華々しく飾った。
1960年、安保闘争の最中に公開された本作。当時28歳だった大島監督が、メロドラマ調のテイストが主流だった松竹大船撮影所の「大船調」に真っ向から挑戦する作品として製作し、大島作品が「松竹ヌーヴェルヴァーグ」と呼ばれるきっかけとなった作品でもある。昨年1月に亡くなった大島監督に代わり、監督の盟友で同作のカメラマンを務めた川又昂の全面協力を得て、フル4Kで修復された。
上映前には『戦場のメリークリスマス』を製作したイギリス人プロデュサーのジェレミー・トーマスと、中国の映画監督ジャ・ジャンクーが登壇。ジェレミーは「大島渚という存在に出会え、また一緒に仕事ができて幸運でした。この作品は日本のヌーヴェルヴァーグのスタートであり、大島は日本におけるゴダール的存在でした」とその功績をたたえる。
さらにジェレミーは、若者の犯罪について描く内容から、本作はイギリスにおいて、長らく上映が禁止されていたと語り、「世界中の人と同じように、大島も若者の犯罪は映画の題材になると考えていましたが、一方でそれはタブーでもあったんです」と当時の時代背景を踏まえながら解説。ジャ・ジャンクー監督は、中国で映画の勉強をしていた時期に本作を鑑賞したといい「大島監督の映画は、社会で起こっている出来事ととても強く結び付いている」と分析すると、「彼の反抗精神は、わたしたちのインスピレーションの源です」と尊敬の念を語った。
学生や若者の姿も目立ったこの日の上映。本作を初めて鑑賞したという現地の男性は「エンディングが本当に衝撃的かつとてもクール。編集もかっこよかったよ!」と笑顔を浮かべていた。(編集部・森田真帆)
第67回カンヌ国際映画祭は現地時間5月25日まで開催