賛否両論!「クズ映画」と批判も…『渇き。』中島哲也監督は「うれしい」
5日、映画『渇き。』の公開記念舞台あいさつが新宿バルト9にて行われ、中島哲也監督をはじめ、役所広司、小松菜奈、オダギリジョー、中谷美紀が登壇した。先週公開された本作は、過激な描写や内容から鑑賞後に賛否が真っ二つに分かれ、中島監督が異例の謝罪を含む直筆声明文を発表するなど話題を呼んでいる。そんな中、キャスト陣が反響に関する思いの丈を述べた。
中島監督をして「最低、最悪の主人公」と言わしめた、暴力でしか人とつながれない父親を演じた役所は、否定的な意見が寄せられたことについて「(ひどい男の役なので)当然ですね」と笑顔を見せると「でも賛否があるということは、それだけ映画に個性があるということ。監督の思いが詰まっているという意味では健全なことです」と胸を張った。
一方、長編映画初出演が「バケモノ」と表現される高校生役だった小松も「『今まで観た映画の中で一番良かった』という人もいれば『クズ映画』っていう人もいるみたいで、同じ映画を観ても、いろいろな意見があるんだなって。これが映画なんだな」とポジティブに捉えると「この作品に出る前は、女優という仕事にそれほど思い入れはなかったのですが、『渇き。』の現場を経験して、演じる楽しさを知りました」と女優業への意欲を見せた。
そんな二人に追随するように中谷も「良いご意見も批判的な意見も遠慮なく仰ってください」と包み込むような笑顔で訴えかけた。さらに中島監督は「映画が個性的であればあるほど、好き嫌いの幅は広がるもの。『まあまあ』と言われるよりはうれしい」と力強く発言すると、満員の会場を見渡し「幅広い世代、男女入り混じって観に来ていただけたことに感謝します」と感慨深い表情を浮かべていた。
本作は、第3回「このミステリーがすごい!」大賞を受賞した深町秋生の小説「果てしなき渇き」を映画化。暴力でしか人とつながることができない元刑事の父親を役所広司が、優等生だと思われていたが徐々に裏の顔が暴かれていく娘・加奈子を新人・小松菜奈が演じる。その他にも中谷美紀、妻夫木聡、オダギリジョーなど個性派俳優たちが人間の持つ狂気と脆さを表現している。(磯部正和)
映画『渇き。』は全国公開中