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ポル・ポト政権下で生き延びた女性、当時の過酷な経験を明かす

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久郷ポンナレットさん
久郷ポンナレットさん

 先週の公開以来、多くの反響を呼んでいる映画『消えた画(え) クメール・ルージュの真実』のトークイベントが12日、ユーロスペースで行われ、クメール・ルージュ(カンボジア共産党)の支配下で過酷な弾圧を受けながらも生き延びた久郷ポンナレットさんが当時を振り返った。

映画『消えた画(え) クメール・ルージュの真実』フォトギャラリー

 本作は、ポル・ポト政権下で少年期を過ごし、家族や友人を失った経験を持つリティ・パニュ監督が、自らの体験を基に、恐怖政治下のカンボジアの様子をクレイアニメと貴重な映像で紡いだドキュメンタリー映画。

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 パニュ監督と同じ年に生まれたポンナレットさんは、タイに脱出後、1980年に日本にやってきたが「(この映画の出来事は)99.9パーセント、(自身の体験と)重なっている部分があります」と切り出すと、「わが家の隣でダンスパーティーがあったのですが、突然、軍用トラックが町中に流れ込んできたんです。そして2、3日後には強制移住させられました」と当時を振り返る。

 そして両親ときょうだいの6人を失ったというポンナレットさんは「生まれ育った家を失い、祖国を失いました。わたしは一人ぼっちになった瞬間、気力や体力を失い、そのまま気を失ったんです。気がついたら病院でしたが、そこは死を待つ場所なんです」と過酷を極めたカンボジアでの生活を語ったが、「でも40年後の今、無事に生き延びることができ、平和な日本ですてきな娘にも恵まれました。改めて『生きることはすてきなことだ』と実感しています」と笑顔を見せた。

 日本に来た当初は、こうした経験を語ることは「母国の恥」と思っていたというポンナレットさん。しかし現在は「こうして生き延びた人たちが、当時の身内の内戦を語るべきなんだ」と考えが変わったという。さらに「世界中の子どもたちを守らないといけない。わたしたちが経験したような思いを、子どもたちに味わわせてはいけないんです」と強い眼差しで訴え掛けていた。(磯部正和)

映画『消えた画(え) クメール・ルージュの真実』はユーロスペースにて公開中

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