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『思い出のマーニー』ジブリらしからぬヒロイン杏奈とは?

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映画『思い出のマーニー』よりヒロインの杏奈(声:高月彩良)
映画『思い出のマーニー』よりヒロインの杏奈(声:高月彩良) - (C) 2014 GNDHDDTK

 映画『思い出のマーニー』の米林宏昌監督が、同作に登場するスタジオジブリらしからぬヒロインの杏奈について語った。杏奈は幼いころに両親を亡くし、ある出来事をきっかけに心を閉ざした12歳。悪化するぜんそくの療養のために気のいい大岩夫妻が暮らす海辺の家に居候することになるが、部屋で一人になるや真顔で「他人ん家の匂いがする」と吐き捨てるような女の子だ。

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 『思い出のマーニー』は、そんな杏奈が謎めいた金髪の少女・マーニーと出会い、ひと夏を過ごすうちに変わっていくさまを描いた作品。原作であるジョーン・G・ロビンソンの同名児童書の魅力の一つは、主人公が何を見て何を思うかという部分を丹念に描いた点だが、アニメーションでは杏奈がいかなる女の子なのかを冒頭で端的に示す必要がある。それを実現するために米林監督が考え付いたのが、「杏奈を絵を描く女の子にする」というアイデアだった。

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 「杏奈のスケッチブックというのは、彼女の心だと思うんです。それをものすごくカリカリと神経質に描いている、その姿勢だったり、描いている絵そのものだったり、そういうものが杏奈の心をそのまま見せるような形にならないかな、と」。そして本作の冒頭は、肩を縮め、他人に見られないように隠しながら絵を描く杏奈が、先生に促されて照れながらその絵を見せようとするも、タイミングが悪く見てもらえないというシーンになった。

 「絵を先生に差し出そうとするんですよね、『どや!』と(笑)。でも結局、他のことに邪魔されて差し出すことができない。誰かに自分の心を安易に見せようとしたことに、逆に恥ずかしくなってせき込んでしまうという……。杏奈は『わたしはわたしが嫌い』『自分は輪の外側に居る』なんて思っているのと同時に、誰かに自分を見てほしいと思っている女の子だと思う。そういった心の中の混乱した部分が、思春期のああいう年代の女の子が持っているものじゃないかな。そういう混乱というものがマーニーを呼んだんだと思っています」。

 米林監督いわく杏奈は「今までジブリにいなかったような……、あんまりスカッとした女の子じゃないんですよね(笑)」と数あるジブリ作品の中でも異質なヒロインだが、そうした等身大の女の子を描くことこそ、本作で挑んだことの一つだったという。「最初は目を合わせてしゃべれなかった女の子が、人と目を合わせてしゃべれるようになるという、本当にささいな成長なんですけれども、杏奈にとってみればものすごく大きな一歩で。そういったものを1本の映画で丹念に描いていくことは、すごく意味のあることなんじゃないかなというふうに思ったんです」と作品に込めた思いを明かしていた。(編集部・市川遥)

映画『思い出のマーニー』は公開中

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