“5万回斬られた男”福本清三が主演男優賞!日本人初の快挙!
7月17日から8月7日までカナダのモントリオールで開催された第18回ファンタジア国際映画祭で、“5万回斬られた男”という異名を持つ斬られ役の名手・福本清三が55年の役者人生で初めて主演を務めたことでも話題の映画『太秦ライムライト』が、最優秀作品賞のシュバル・ノワール賞と、福本が最優秀主演男優賞を受賞したことがわかった。日本人が本映画祭で主演男優賞を受賞するのは初めてで、71歳の福本は歴代最年長受賞記録を更新。シュバル・ノワール賞を日本映画が受賞するのも史上初となり、メガホンを取った落合賢監督は日本人最年少として初ものづくしの栄冠を手にした。
映画祭の審査員は、どちらの賞も「審査員満場一致で決定した」と明かしている。同作は先日の第13回ニューヨーク・アジア映画祭で最優秀観客賞も受賞しており、国際舞台で3冠の栄誉をつかんだことになる。
福本は「このたびの『最優秀作品賞』の評価は、苦労をかけたスタッフ全員の熱意と努力の賜物(たまもの)です。そんな仲間たちに支えられて撮影をまっとうすることができたに過ぎないわたしが『主演男優賞』とは信じられません」と驚きを隠せず、「ご選考くださった方々には失礼な話ですが、何かの間違いのように思われ、落ち着かない気持ちでいっぱいです」と率直な思いを語った。そして「これも出演者全員でいただいたものと受け止めております。唯々、『感謝』の一言しかございません。ありがとうございます」と礼を述べた。
落合監督は「50年以上、斬られることで、他の主役を引き立たせてきた福本さんが、海外の映画祭で主演男優賞を受賞されたということは、『どこかで誰かが見ていてくれる』というこの作品のテーマそのものではないでしょうか! 本当にうれしいです」と歓喜している。
同映画祭は、1996年に始まり、今年で18回目を数える。カナダ・モントリオールで毎年開催されており、各年10万人以上の映画ファンや業界関係者が参加。世界各国のインディペンデント系からメインストリームまでのジャンル映画の上映を行っており、北米で最も重要なジャンル映画祭と称されている。今年は、長編だけでも160作品が上映された。
『太秦ライムライト』は、1958年に15歳で東映京都撮影所に入所して以来55年間、トム・クルーズ主演の映画『ラスト サムライ』や数多くの時代劇などに出演している福本の初主演作。京都・太秦にある、日映撮影所を舞台に、斬られ役として長年活躍してきた老いた俳優と、師弟関係を結ぶことになる新進女優の心の交流を描いている。(編集部・小松芙未)
映画『太秦ライムライト』は全国公開中