ディザスタームービーベスト!これぞ映画の醍醐味
天災の脅威をエンターテインメントとして別次元で体感できるディザスタームービーこそ、その迫力を大きなスクリーンのある映画館で楽しむべき映画であり、映画のだいご味。技術面の進歩に伴い、1990年代中ごろから全盛期を迎えたディザスタームービーの変遷を振り返ってみた。
『シカゴ』(1937)や『地球最後の日』(1951)など、それまでにも災害を扱った映画はあったが、1980年代以降のCG技術の目覚ましい発展を受け、1990年代中ごろからはバラエティーに富んだディザスタームービーが続々登場。F5クラスの巨大竜巻との攻防を描いたヤン・デ・ボン監督作『ツイスター』(1996)をはじめ、大都市ロサンゼルスを舞台に溶岩流との格闘を描いた『ボルケーノ』(1997)や、死火山ダンテズ・ピークの噴火を描いた『ダンテズ・ピーク』(1997)といった火山物、さらには地球へのすい星衝突を描いた『ディープ・インパクト』(1998)や『アルマゲドン』(1998)などが、次々に世界的なメガヒットを記録した。
竜巻もここまできました!『イントゥ・ザ・ストーム』フォトギャラリー
2000年以降は、竜巻、洪水、噴火、地震、思い付く災害全てが巻き起こった後に、『デイ・アフター・トゥモロー』(2004)のように氷河期が訪れたり、地殻変動による地球滅亡の恐怖を描いた『2012』(2009)など、CGやVFXのさらなる進歩に伴い、複合型の災害が描かれるように。日本でも消えゆく日本列島を描いた『日本沈没』(2006)のリメイク版が、韓国では『TSUNAMI-ツナミ-』(2009)が製作されるなど、そのスキルはハリウッドだけではなく世界的レべルで発展を遂げた。
近年では、スマトラ沖地震や東日本大震災など、大きな被害をもたらした災害が実際に起きているだけに、その悲劇を最新VFXで再現することで恐ろしさを体現しながらも、同時に希望を描く『インポッシブル』(2012)のような作品も生まれている。自然災害という普遍的な出来事がテーマなだけに、時代や世代を超えて観る者を魅了するディザスタームービー。さらなる技術の進歩と共に、今後どのような展開を迎えるのか期待が高まる。(編集部・浅野麗)